りつこの読書と落語メモ

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デンジャラス

 

デンジャラス

デンジャラス

 

 ★★★★★

君臨する男。寵愛される女たち。文豪が築き上げた理想の“家族帝国”と、そこで繰り広げられる妖しい四角関係―日本文学史上もっとも貪欲で危険な文豪・谷崎潤一郎。人間の深淵を見つめ続ける桐野夏生が、燃えさかる作家の「業」に焦点をあて、新たな小説へと昇華させる。


細雪」が大好きなだけに、そのモデルとなった女たちと谷崎潤一郎自身の物語と聞けば、野次馬的な興味とともにその世界観を汚されたくないという思いもあったのだが、いやーすごい。どこまで真実なのかはわからないけれど、ちゃんとその世界を壊さず、それでいて別の小説としての世界をつくりあげていて、あっぱれとしか言いようがない。

小説家の側にいてインスピレーションを与え描かれることの悦びと捨てられる哀しさ。
谷崎にすがるしかない身の寄る辺なさと誇りと嫉妬。

帝国の王である谷崎に憧れ恐れ従いながらも、最後には真っ向から対峙した重子の勝利だったのだろうか。
いやぁ面白かった。