りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

桂南喬ひとりっきり会~二番庫出し三席~

10/26(木)、湯島天神参集殿で行われた「桂南喬ひとりっきり会~二番庫出し三席~」に行ってきた。

寄席で見ていて好きだなぁ、もっとたっぷり見たいなぁと思っていた師匠。
かわら版を見たらこんな会があったので鼻息荒く行ってみた。
南喬師匠はそんなに頻繁に自分の会を開かれていないので、もしかしてものすごい数のお客さんなのでは…という予感がして、少し早めに行ってみたら案の定入口からごった返していてびっくり。
お手伝いの方も大勢いらして、なんとビールやお酒、お弁当なども販売されている。それも定価で!すごいサービスのよさ。
なんか地元のお祭りに来たようなアットホームな雰囲気。
うわー、ビール飲んじゃおうかなぁ!と思ったけれど、この日はなんかお疲れ気味だったので飲んだら寝ちゃうかもと思って我慢。
会場にはすでに人が大勢入っていて、前の方の座布団席も前の方から埋まっていく。すごいすごい。
一人だったので前方の椅子席に座れて、ほっ。


・かな文「金明竹
・正太郎「反対俥」
・南喬「ちはやふる
・南喬「青菜」
~仲入り~
・花島皆子 マジック
・南喬「池田大助」


南喬師匠「ちはやふる
この会、もう以前からやられているらしいのだけれど、今日が一番の大入りとのこと。
楽屋では狂喜乱舞。みんなが言ってる。「なんだ、客っていうのは来ようと思えば来られるんだな」。
いつものまくらだけど、この状況にぴったりで大笑い。

私事ですけど今年70歳になりました、と南喬師匠。
今の時代、70なんてどうってことない。でも私にとっては結構意味のある数字なんです。
というのは私は15歳の時に先代の金馬師匠のもとに入門しました。
その2年後に金馬が亡くなりまして、それが70歳だったんです。
私ほんとにびっくりしちゃいまして。金馬も死ぬんだ?と思って。金馬は死なないと思っていたんですな。
だから私は何がなんでも金馬よりは長生きしよう、っていうのが目標でした。
芸ではとてもじゃないけど師匠に追いつけないけど年齢だけはとにかく上へ、というわけです。
だからそれが達成できたので私にとったら大きな出来事でした。

で、次に入門したのが小南で、この師匠が76歳で亡くなってる。
ですから次は私76歳を目指します。
その後入門したのが先代の小さん。この師匠が85歳ですから、とにかくそれまでは長生きしたいですね。

そんなまくらから「ちはやふる」。
もうこの「ちはやふる」が私が今まで見た「ちはや」の中でピカイチにおかしくて。
ご隠居とくまさんの会話だけで楽しい。なんだろう。肩の力が抜けていてすごく自由で弾むような楽しさ。
ご隠居がくまさんに「竜田川と言うから、川だと思うかい?」と聞くだけ聞いて「そこが畜生の浅ましさ」と切り捨てるところから、浪花節で語るところの歌のまずさから、女乞食が弾むところから…聞きなれた噺なのに隅から隅まで楽しくて笑いっぱなし。

いやぁー楽しい、南喬師匠。私この師匠の落語、かーなーり好きだな。

南喬師匠「青菜」
そのまま席を立たずに二席目。
「あんまりこういうことはしないんですが」と南喬師匠。
三席聞けるなんて幸せすぎる!

江戸版の「青菜」だけど、旦那が小三治師匠がされるのよりもう少しラフで、そういう意味では少し上方版っぽくもある。もしかしてこれが小南イズムなのかしら、なんて勝手な想像。
繰り返しも少なくごくあっさりしていてしつこくない。
大工さんが手酌で酒をぐびぐび飲むのが楽しい。

家に帰ってきてからのおかみさんとのやり取りも、おかみさんに大物感があって素敵だ。
楽しかった~。

南喬師匠「池田大助」
ネタ出しされていたので初めて聞く噺だと思っていたら、「佐々木政談」だった!
大岡越前に威厳があってでもさっぱりしていてそこがいい。
子どもも小生意気だけどけろっとしていてかわいい。

時々どきっとするようなくすぐりが入るのも楽しかった。
私この噺そんなに好きじゃないんだけど、南喬師匠のは御奉行様が子どもとのやりとりを楽しんでいるのが感じられて、そこが好きだったな。