どうして僕はこんなところに
- 作者: ブルース・チャトウィン,池央耿
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/06/22
- メディア: 文庫
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★★★★
旅を愛し、特異な眼差しで世界を凝視しつづけたチャトウィン。研ぎ澄まされた言葉で記される旅の記憶は、彼が見出した“奇跡的な何か”を感じさせてやまない。偶然が引き起こす様々な出逢い―人間であり、場所であり、時に歴史的な事件でもあった―が彼にとって旅のすべてであり、本書はまさに彼の旅そのものとも言える。類まれなる紀行作家だった夭逝の天才が、旅の果てにくずおれる前に遺した、最初で最後の自選作品集。
旅をしているときに出会った人や出来事や歴史について書かれているのだが、静かに思索しているような文章で、読みやすいけれど共感しづらく結果的に読むのに時間がかかり、そしてなにより感想が書きにくい…!
もう少しエモーショナルに書いてあれば、ハートで読んでしまうんだけど、淡々とした感情を排した文章で書かれているので、きちんと頭で理解しないと先に進めない部分も多く、私には少し難しかったな。
草を求めて移動する遊牧民のようにチャトウィンも旅をしないではいられなかったのだろうか。旅でかかった病がもとで早世してしまったことを思うと、彼の旅に逼迫した使命感のようなものを感じてしまう。
前半におさめられた市井の人たちの物語がとても好きだったけれど、後半は移民や戦争など避けては通れない問題を突き付けられたように感じた。
特に移民の問題は以前だったら遠い世界の話だったけれど今はそうは言っていられない状況もあって読んでいて不安な気持ちに…。
今の世界をチャトウィンだったらどう見たのだろう。