りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小はぜ勉強会 其の五~勉強会ですが負けませんっ!~

10/14(土)、和光大学ポプリホール鶴川で行われた「柳家小はぜ勉強会 其の五~勉強会ですが負けませんっ!~」に行ってきた。


・小はぜ「真田小僧
・小はぜ「猫の皿」
~仲入り~
・小はぜ「妾馬」


小はぜさん「真田小僧
「お足元の悪い中、こんなに大勢いらしてくださってありがとうございます」と小はぜさん。
この会を始めた時は、まさかこんな風に毎回満員になるなんて思ってもいなかった。
予約で満員になると主催の方がメールで教えてくださるんだけど、そうやってメールで知らせてもらえるとわかっていると、いつその知らせが来るだろうと気が気でない。
それでも予約してから日にちが経っていて当日になって面倒になったり、体調が悪くてどうしよう…と思う人もいるでしょう。その場合は無理しないでください。いらっしゃらなかったからって私がどうこうなるわけじゃありません。
今日こうしていらしてくれた人の中にも具合の悪い人がいるかもしれません。そういう方には…あの…お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか?
…すみません。一度やってみたかったんです。

あとまだやってみたいことがありまして。
ホームの下に人が落ちてしまった時に助けてあげたいんです。ホームに落ちてる人を颯爽と…助けてあげたい。
あとひったくりにあって「泥棒ー」と声がした時に追いかけて行って泥棒をつかまえたい。
そういうことをすると地元の警察から表彰されて新聞の地方蘭に小さく出たりしますけど、そういうのはうけないんです。「自分はしがない噺家ですから」と言って断ります。出ないんです、そういうのは。だめです。
謝礼はいただいて。表彰状はもらいません。取材も断ります。

…ぶわははは。もうほんとに小はぜさんのこの逡巡するまくらが大好き。まじめで心配性で気持が優しくて…でも情熱家で頑固でめんどくさくて…。
温かいお客さんがみんな微笑ましく見守っているのがわかる。

そんなまくらから「真田小僧」。
ほおー。小はぜさんが「真田小僧」とは意外。でもきっと小はぜさんのことだから、通しでやるな、絶対。
そう思っていたらやっぱり…。

金坊がこまっしゃくれているんだけど、憎らしいだけじゃなくどこか憎めない。
そんな金坊にやられっぱなしのお父さんが子供っぽくておかしい。
あまりやられない後半部分は確かにちょっと笑いどころが少ないし、講釈を二回通すからそこがだれちゃうんだよな。小はぜさんはでもちゃんとそこをスピーディーに流してあまりだれないようにしていた。
ちょっと危ないところもあった?けど面白かった。

小はぜさん「猫の皿」
蜀山人狂歌のエピソード(船に酔った蜀山人が請われて仕方なく詠んだ狂歌や、騙されて持ち帰った山吹についてうたった狂歌)が楽しい!こういうの大好き。いつまでも聴いていたくなる。話してる小はぜさんも実に楽しそう。

そんなまくらから「猫の皿」。
確か前に聞いたのは二ツ目になりたてのころ。あの時は暑かった。だから道具屋が茶店で休んだ時、しきりに暑い暑いと言っていたんだ。
今回は秋になりたての風景。
ああ、こうやって季節を噺に盛り込んでいくのか。素敵~。

そして噺も前に聞いた時よりずっとずっとよくなっていた。なにより小はぜさんがこの噺が大好きなんだろうなぁというのが伝わってくる。
お皿のやりとりのところも前より刈り込んであっさり。茶店の主人の遊び心がちらり。
落語らしくていいなぁ。楽しかった!


小はぜさん「妾馬」
今回のネタ卸しがこちら。
黒紋付の羽織で登場した小はぜさん。とても素敵で前の方に座った奥様達からも「まぁ素敵」というため息が。

「これはニツ目に決まった時にこしらえたもので。前座の頃自分はウールかポリの着物を着ていて…それはもうあくまでも作業着という感じだったんですけど。前座で働きながら、先輩が紋付羽織で出て行くのを見ると、いつもかっこいいなぁと思ってました。なんか、今日はやってやるぞ!という気迫を感じるんですね、黒紋付きには。」
そんなまくらから「妾馬」。

いやぁこれがもうびっくりするぐらいよかった!
小はぜさんは口調がいいから八五郎の江戸っ子らしい威勢の良さがよく出ていて、だけど品があるからどんなに口が悪くても清潔感があってとてもチャーミング。
前半がスピードがあって笑いが多かったぶん、酔っぱらった八五郎が妹の姿に気が付いて語りかけるところでは、会場がしーんとしてすごい緊張感。
都々逸の歌声もとてもよくて…やるなぁ小はぜさん!

「妾馬」だ!と気づいた時は、ちょっと背伸びしたね?と思ったけど、とてもよかった。びっくりした。