りつこの読書と落語メモ

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もう生まれたくない

 

もう生まれたくない

もう生まれたくない

 

★★★★★

マンモス大学に勤める、にわかナースの春菜、ゲームオタクのシングルマザー・美里、謎めいた美人清掃員の神子。震災の年の夏、偶然の訃報でつながった彼女たちの運命が動き始める―。誰もが死とともにある日常を通して、生の光を伝える傑作長篇小説。  

間取り小説の後は訃報小説か。長嶋有ってほんとにアプローチの仕方が面白いなぁ。

芸能人の死、1度だけ会った人の死、身近な人の死、そして突然訪れる自分自身の死。
芸能人の死は自分にとってはあくまでもゴシップでしかないけれど、不思議とそれを聞いた時の状況っていうのが忘れられなくて、自分自身の体験したことよりリアルだったりすることがある。その人に対する思い入れもあるけれど、その時の自分の状況や状態によるところも大きい。

芸能人をタイトルにしたゲームの安っぽさやジェンガの一体感と嘘臭さ。震災の後の心細い感じやレンタルビデオ屋のバイトの埃っぽさ。割烹着姿のオボちゃんは確かに得意げだった。

気楽だけど少し不穏な私たちの毎日は忘れているけど死と隣り合わせだということを教えてくれる。
震災の後の世の中の変わり方に何かこうざわっとした不安を感じ続けているのだが、見事に表現されていると思った。

面白かった。と書きながら、面白がっていてほんとに大丈夫なんだろうか、という不安も残る。