りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

一朝会

9/30(土)、浅草見番で行われた「一朝会」に行ってきた。

・一猿「たらちね」
・朝之助「唖の釣り
・一朝「転宅」
~仲入り~
・一朝「居残り佐平次

一猿さん「たらちね」
ことさらなにか入れたりしてないけど、ちゃんと面白い。
八の「嫁さんが来る」ワクワクが伝わってきて、微笑ましい。

朝之助さん「唖の釣り
前座時代はよく見ていたけれどニツ目になってからご無沙汰だった朝之助さん。すっごく面白くなっていてびっくり!

七兵衛の家を訪ねてきた与太郎が「七兵衛さーーん!行きましょうよー。釣りをしにー。殺生禁断の池にーーー。鯉を釣りにー。それで売って金儲けしましょうー。」と大声で呼んで、出てきた七兵衛が「お前、なんでこういうことを大声で言うんだ。向かいにはおしゃべりばばあが住んでるんだぞ」と言うと「じゃあたし今からおばあさんのところに行ってきます」
「行ってなんていうんだ?」と聞くと「私がさっき七兵衛さーん(指を一本折る)、行きましょうよーー(二本)、殺生禁断の池にーー(三本)…って言いましたけど、これらの文章の中で一番印象に残ったのはどれですか?」。

…ぶわははは!

あと口がきけなくなった仕草の時に、役人から問われると「うぃ」と返事をするのがなんともいえずおかしい。
ご本人がぼけっとしていていかにも与太郎さんっぽいし、大きな声を出すだけでおかしいし、それにちょっと面白い工夫があるから、ぶわはっと吹き出してしまう。楽しかった。


一朝師匠「転宅」
一朝師匠の「転宅」初めて!うれしい。
泥棒が盗みに入って酒や肴をつまみながら「いい酒飲んでるなぁ」「なんだ、これ、なんかわかんないけどうまい」「これもうまい」と機嫌よく実に楽しそう。さんざんあれこれつまんだ後に「全部うまくて次に何を食おうか決められねぇよ」というのがおかしい。
途中で名乗りを上げる時、それまででれでれしていたのに急に低い声で芝居のかたちでかっこつけるのが、ばかばかしくて楽しい。
お菊さんは堂々としてるけど、時々「あ、もしかしてお菊さんもドキドキしてるのかな」と思う瞬間があって、魅力的だった。


一朝師匠「居残り佐平次
これも一朝師匠では初めて。わーーい。
佐平次が仲間を呼んで「遊びに行こう」と誘うところ、最初からなんかちょっと他の連中より兄貴っぽい。
店に行って若い衆に声をかけたときに若い衆が気のない返事をする、っていうの、南なん師匠のでもそうだけど面白いな。多分とてもいい店に上がるように見えないんだろうな、この人たち。

布団部屋に移って働き始めるようになるところ。
勝さんに取り入るところがすごく面白くて、さらにその勝さんが最初は不機嫌だったのに徐々にでれっとしてくるのがとてもかわいくておかしい。

店の主人も威厳があっていかにも好人物なんだけど、佐平次の言葉にみるみる慌てるところに、「だまされやすさ」が出ていておもしろい。

この日は結構早めに行って並んだので前の方で見られたんだけど、細かい表情とか、ちょっとした言葉にちゃんと意味があるんだなぁというのが感じられて面白かった。