不時着する流星たち
★★★★
ヘンリー・ダーガー、グレン・グールド、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー…世界のはしっこでそっと異彩を放つ人々をモチーフに、その記憶、手触り、痕跡を結晶化した珠玉の十篇。現実と虚構がひとつらなりの世界に溶け合うとき、めくるめく豊饒な物語世界が出現する―たくらみに満ちた不朽の世界文学の誕生!
静かで美しいけれど油断しているとどきっとするような裂け目を見ることになる。自分の小さな世界を守ろうと思って生きていても、変化や喪失は逃れられない。現実と空想の世界の境目をぐらぐらしながら、最後に残るのは人間の寂しさ、なのかな。
モチーフやヒントになったと思われる作家や出来事の解説が章の終わりに書いてあるのがまた面白かった。