りつこの読書と落語メモ

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オープン・シティ

 

オープン・シティ (新潮クレスト・ブックス)

オープン・シティ (新潮クレスト・ブックス)

 

 ★★★★

マンハッタンを日ごと彷徨する若き精神科医。時折よみがえる遠い国の記憶。数々の賞に輝いたナイジェリア系作家によるデビュー長篇。  

 

主人公はナイジェリア人の父とドイツ人の母を持ちアメリカで精神科医をしている男。移民であることからどこにも属してない自分を持て余している。
その彼がブリュッセルを訪れ過去の出来事を思い出し暗い歴史に思いを馳せる。「ゼーバルトのような」というのはきっとこの語りによるものだろうと思うが、この主人公はもっと生々しい存在だ。

傍観者であり被害者側だった主人公の加害者の側面を見せるラストに驚愕。
虐待される存在は常に虐待されているだけではない。それでもあなたは受け入れられるのか?と突き付けられているような気がした。