りつこの読書と落語メモ

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鈴本演芸場9月下席夜の部 柳亭こみち真打昇進襲名披露興行 

9/22(金)、鈴本演芸場9月下席夜の部 柳亭こみち真打昇進襲名披露興行に行ってきた。
会社帰りに行ったのだが、客席はもうぎゅうぎゅう。
ひぇーと思いながらもどうにか前の方で空いてる一席があったので滑り込む。
こみちさん、人気あるなぁ~。

・燕路「狸札」
馬風 漫談
・楽一 紙切り
・金馬「表彰状」
~仲入り~
・真打昇進披露口上 (司会:玉の輔、さん喬、金馬、こみち、燕路、馬風、市馬)
・ストレート松浦 ジャグリング
・市馬「のめる」
・さん喬「長短」
・小円歌 三味線漫談
・こみち「稽古屋」


燕路師匠「狸札」
鳴りやまない拍手に「あの…今日は私の披露目じゃないので。最後に出てきたときに盛大に拍手をしてやってください」。
いっぱいの客席を見渡して「こんなに大勢いらしてくださってありがとうございます」と心からの言葉。
もうほんとにほんとに嬉しそうで、師匠がこんなに嬉しそうにしてくれるなんてこみちさん本当に幸せだねぇ…。いい師匠なんだなぁ…。

「狸札」、もう弾むような高座で、何度も見ている噺なのにげらげら笑ってしまった。弟子が真打になったことを心の底から喜んでいるのが伝わってくる素敵な高座だった。


金馬師匠「表彰状」
わー。この噺、金馬師匠がされるんだ!びっくりー。
まじめに悪事に励む泥棒が、ひょんなところから表彰状をもらってしまい、そんなものをもらったら仕事をしにくくなってしまう!と、どうにか悪いことをしてもらわずに済ませようとするのだが、やることやること裏目に出て、どんどん表彰のランクがあがっていく…。

テンポが良くて語りがあたたかくて最初から最後まで楽しかった。


真打昇進披露口上 (司会:玉の輔師匠、さん喬師匠、金馬師匠、こみち師匠、燕路師匠、馬風師匠、市馬師匠)

さん喬師匠。入ってきた時、本当にかわいらしかった。ニツ目になって頭角を現してきて、芸もいいし、それだけじゃなく結婚して子供も産んでお母さんをやりながら落語の方も頑張ってる、と心のこもった言葉。


金馬師匠。どんなに人気があって落語がうまくて寄席でトリをとることはできない。真打になって初めてトリをとることができる。といって、真打になったからといって誰でもトリをとれるわけじゃない。何が大事かといったらもちろん本人の精進も大事だけれどお客さんが応援してくれること、これに勝るものはない。今までもこみちのことを応援してきてくださっているとは思うけれど、今まで以上に応援してやってください。はっきりと「こみちを応援してやってくれ」と言う言葉にじーん…。


市馬師匠。こみちは落語もとっても素晴らしいけれど、それだけじゃなく子どもも産んで両立させている。これからいいことばかりじゃなく壁にぶちあたることもあるだろうけど、いい時は「よかったよ」と褒めてやって、悪い時は見守ってやってほしい。市馬師匠の言葉はいつもあたたかい。


燕路師匠。こみちが弟子にしてくれとやってきた時、自分だってまだまだ修行中の身なのに…と悩み小三治に相談した。小三治は「お前はその子を弟子に取ったら一人前にしたいと思うか」と聞いてきた。「もちろん私は弟子に取ったら一人前にしてやりたいです」と答えると「甘い。お前だってまだ一人前じゃないんだ。でも弟子をとることでお前は一人前になれるんだ。そうやって弟子と師匠と一緒に成長できる」と言われ、それで弟子にとることを決心した。
名前を付ける時も師匠に相談したら「弟子の名前をつけるところからお前の師匠としての修業が始まるのだ」と言われ、「小三治」の「こ」、自分の「みち」をとって「こみち」と付けた。

何年かしてこみちが「師匠にお話があります」と来たので、やめるのか?!と思ったら「結婚したいと思ってる人がいます」。
この仕事は不安定だから、結婚するなら相手は固い仕事の人間がいいぞ。弁護士とか会計士とか「士」が付く仕事がいい、と言うと、「し、はつくんですが」と。ならいいじゃないかと思ったらよりにもよって「漫才師」。

そして何年かすると今度は「子どもができました」と。
結婚して子供ができて母親になって。そういう経験が落語に活かせることができれば、こみちにしかできない落語ができるようになってくれれば…。

…もう本当に心のこもった口上で、師匠がこんな風に大事に思ってくれてこんな口上を述べてくれるって本当に素晴らしいなぁ…と感動。
師匠の言葉に、頭を下げているこみちさんが泣いているのが見えて、もらい泣きしてしまった。


ストレート松浦先生 ジャグリング
皿回しは見たことがあったけど、飯台回しは初めて。すごい。

 

小円歌先生 三味線漫談
「こみっちゃんは本当に小さくてかわいくていつも一生懸命で」「子どもも産んで育てていて本当に尊敬する!」と心からの言葉。

「さっきの師匠の口上、素晴らしかったですよね!もう楽屋でみんな絶賛!二人ともちいちゃいけどね。二人してちびっこギャングみたいでね」。

「いつもの」じゃない、難易度の高い三味線&歌。襲名に向けて特訓中なのかな。かっこよかった!

こみち師匠「稽古屋」
出てきたときにすでに泣いているこみち師匠。顔をくしゃくしゃにしてタオルハンカチを出して顔をくしゃくしゃーっと拭くのがおかしいやらかわいいやら。

私ほんとにすごい泣き虫で。絶対泣くんです。ニツ目にあがったときの最初の高座でも…持ち時間15分なのに6分で降りて。もう号泣して落語ができなかった…。今日も絶対泣くと思って…タオル持ってきたんですけど…すみません。

今日も来るときに師匠のお宅に行って師匠の着物を持って行こうとしたら、「お前は持って行かなくていいよ」って言われたんです。え?でも…。私が…。と言うと師匠が「もういいんだよ」って。
あの…うちの師匠、ああ見えてももう来年還暦で…50代だけど末期なんです。着物重いのに大変なのにもう持たなくていいって言われて。ああ、こういうことなのか、真打になるって、って思って。それがすごく寂しくて。これからは一人なんだなって。

私、ちょっとでも気を抜くと妊娠しちゃうんで…妊娠がわかったときに師匠のところに飛んでいって、おそるおそる…「子どもができました」って話したら…師匠が「そうか。それは良かった。幸せなことだよ」って…言ってくれて…。


…わーーーーん。もうそれを聞いてまた泣いてしまった。
仕事をしていると「子どもができた」って言ってマイナスな反応がかえってくることが多くて、落語界も「男の世界」だから、こみちさんもいつも「女」と意識されないようにいつも頑張っていて、だからといってことさら女を見せないようにしてないところがまたこみちさんの魅力でもあって…。
どういう反応がかえってくるか内心びくびくしながら話したこみちさんに「幸せなことだ」とはっきり言ってくれた師匠。素敵。

今まで何回か真打披露目興行に来ているけれど、噺をする前にこんなに泣いている人は初めて見たので(笑)大丈夫?と思っていたのだけれど、ようやく涙もおさまってきたようで、江戸っ子の習いごとのまくらから「稽古屋」。

こみち師匠の十八番だよね。稽古屋の師匠がとってもチャーミング。所作がとてもきれい。
それに対する習いに来た八五郎のだめだめ加減とばかばかしさが楽しい。
鳴り物ともぴったり合って気持ちいい~。
稽古屋の師匠が「小円歌」で、襲名が決まっているっていうのもおかしかったな。

満員のお客さんがみんな温かい目で見守る中、素晴らしい「稽古屋」だった。
本当にいいお披露目だった。