りつこの読書と落語メモ

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第三十四回 萬窓百景

8/25(金)、池袋演芸場で行われた「第三十四回 萬窓百景」に行ってきた。
萬窓師匠も寄席で見て「もっと見てみたい!」と思った師匠。これ以上好きな噺家さんを増やしてどうする?!と思いつつ、かわら版を見ると池袋演芸場での独演会があったので、小三治師匠を見に演芸場に行った時に前売り券を購入。
見たいと思ってすぐに見られるのが落語のいいところ。こうやってずぶずぶ深みにはまっていくのだ。ほほほ。

・小ごと「道灌」
・萬窓「木乃伊とり」
~仲入り~
・ひびきわたる ものまね漫談
・萬窓「乳房榎」

小ごとさん「道灌」
プログラムに「有望前座」と書いてあったのを見たらしく、座布団に座るなり「有望前座です」とにっこり。
身体が大きくて強面だけど笑顔がいいんだなぁ。
上下をあんまり振らないのでご隠居と八つぁんの区別がまだちゃんとついてないような気がするけど、声もいいし愛嬌もあるし楽しみな前座さん。

萬窓師匠「木乃伊とり」
今息子が中3でして、と萬窓師匠。 
息子と一緒に学校見学に行ったら、受付のところに在校生の女の子たち。どう考えても学校で一番かわいい子を揃えて置いている。
愛想もよくて笑顔で迎えてくれて実に感じがいい。
これは…吉原でいう「看板」。一番かわいい子を表に出しておくというやり方。吉原の法がこんなところにも…。
一通りの説明が終わると、在校生が校舎を案内してくれるという。グループに分かれてその受付にいたかわい子ちゃんが案内してくれるのだが、萬窓師匠が行ったときは参加者が多かったとみえて、案内役が足りない。先生が案内役の子に「じゃ、案内が終わった子が順番に残ってるグループを案内して」。
…それは廻し!ここにも吉原の法が生きている…!

そんなまくらから、子を想う親の気持ちは昔も今も変わらないと「木乃伊とり」。
ぶわははは。たまらないな、このまくら。子を想う親の気持ちといいながら、学校見学に見た吉原の法っていうのが最高。
そういえば私がこの師匠にハートを射抜かれたのも「蜘蛛駕籠」をやる前のタクシーのまくらだった。ぐふふ。

何日も帰ってこない息子が吉原の角海老に居続けをしていると知った大旦那。
勘当だと怒る旦那に番頭が「私が迎えに行ってまいります」。
そうしてくれるとありがたいが堅いお前が吉原なんて行けるのかい?と旦那が言うと「え、ええ」と番頭。
この番頭…確信犯(笑)。

迎えに行った番頭が3日帰らず怒り狂う大旦那に「あの番頭はどうも不思議なところがあって信用ならなかった」とおかみさん。
「頭に迎えに行ってもらいましょう」と言うと「あんな遊び人に任せられるか」と大旦那。
「遊び人だからこそ任せられるんじゃないですか」。

「あっしがなにがなんでも連れて帰ります」と意気込む頭、吉原に向かう道で幇間の一八に会う。
そのやりとりから、頭は最初はほんとに連れて帰る気だったことがうかがえる。

この頭が7日帰らないのでいよいよ勘当だ!と言っているところに、飯炊きの清蔵が「あっしが迎えにいってきやす」と登場。 
気乗りしない大旦那を説得するおかみさんと清蔵。
吉原に乗り込もうとする清蔵におかみさんが20両の入ったきんちゃくを渡し、涙ぐむ清蔵。

その清蔵、店の若い衆を「ばかにすんでねぇ」と蹴散らかし、番頭と頭のこともどやしつけ、若旦那にも説教。
私は清蔵に向かって「奉公人の分際で!お前には暇を出す!」と言う若旦那が嫌で、どうもこの噺はそんなに好きじゃないのだが、そんな若旦那に「およしなさい。清蔵の目が本気です。」と番頭がたしなめるところで、なんとなくこの人たちの力関係が分かる気がして、面白いと思った。

頑なだった清蔵が若旦那が「お前と一緒に帰るよ」と言って心底ほっとして、おいしいお酒を飲んで徐々にたががはずれてきて、花魁にお世辞を言われてその気になって、もっとここでゆっくりしたいと思う、その心境の変化が見ていてとても楽しかった。

うーん。素敵だ。萬窓師匠。

萬窓師匠「乳房榎」
初めて聴く噺。
この噺は長いので今日は前半だけお話申し上げます。後半部分…あとすじは本日お渡ししたプログラムに書いておきました、と萬窓師匠。
…親切!

絵師として活躍していた菱川重信の妻・お絹は大変な美貌の持ち主。
ある日重信、お絹、息子の真与太郎の3人が出かけると、お絹を一目見て夢中になってしまった浪人の浪江。
重信のもとへ絵を習いたいと訪ね懇意になるのだが、重信が寺から頼まれた龍の絵を描くために留守の時に訪ね、お絹を脅して関係を持つようになる。
最初は真与太郎を守るために嫌々応じていたお絹だったが、遊び人で女の扱いがうまい浪江に夢中になる。
重信がいないときしか会うことができないことにいら立つ二人。
浪江はある時、龍の絵を描いている重信の元を訪ね、重信に付いて世話をやいている正助を誘い出す。

正助に酒を飲ませ金をつかませ「伯父になってくれ」と言う浪江。
正助がその気になると、「物は相談だが」と言って、重信を殺す手伝いをしろと言いだす。
そんなことはできない!と正助が断ると、だったらお前のことも殺す、と浪江。
命は惜しいからと浪江に従う正助。
蛍を見に行こうと主人を誘い出し、浪江は重信を切り殺す。

寺に戻った正助が「ご主人様が何者かに斬られて死んだ」と寺の和尚に告げると「そんなはずはない。重信様は今も絵を描いてらっしゃる」と。
まさかと思い正助がのぞいてみると、確かにそこには絵を描く主人の姿。
開けてみると重信の姿はなく、描いたばかりの龍の絵と生々しい落款が…。

…ひぃー。
萬窓師匠、こういう噺もやられるのね。
基本的に救いのない噺だけど、でも正助がいかにも落語っぽい人物で笑いどころを作ってあって、そこに少しだけ救われたかな。

楽しかった~。萬窓師匠、やっぱり思ってた通り、とても好みだった!