りつこの読書と落語メモ

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大江戸悪人物語2017-18 episode 3

8/17(木)、日本橋社会教育会館で行われた「大江戸悪人物語2017-18 episode 3」に行ってきた。

 

・ひしもち「二人旅」
・松之丞「慶安太平記−丸橋忠弥登場〜忠弥正雪と立ち会い神田」
~仲入り~
・龍玉「真景累ヶ淵−豊志賀」

ひしもちさん「二人旅」
アナウンスの声で「あ、ひしもちさんだ」と分かる友だちに大笑い。確かにそう言われて聞いてみるとひしもちさんなんだけど、声だけで分かるって相当すごい。
出てきたらやっぱりひしもちさんで笑った。
「二人旅」ってほんとに難しい噺だよね。ベテランの真打の師匠がやってもくすりとも笑いが起こられないことが多い。でも前に市馬師匠が末廣亭で「二人旅」をやったとき、ずっとくすくす笑ってた小学生の男の子がいて、この噺のなんかこう…くすくす笑っちゃう面白さが、こんな小さい子にもわかるんだって驚いた。

ひしもちさんの「二人旅」も、田舎ののんびりした風景が浮かんできて、よかった。もちろん見る人が見たら全然まだまだ、なんだろうけど。
やなぎ屋のおばあさんの孫を呼ぶこえがばかにおかしかったなぁ。
最初に出てきた頃は滑舌も悪いし大丈夫か?と思っていたけど、言葉もとても聞きやすくなったしじんわりとした面白さがでてきてるし楽しみだな、ひしもちさん。


松之丞さん「慶安太平記−丸橋忠弥登場〜忠弥正雪と立ち会い神田」
前座のひしもちさんを龍玉師匠がずっと袖から見ていた、と松之丞さん。
ほら、龍玉師匠って…絶対他人に興味ないじゃないですか。
それなのにひしもちさんは一門だからやっぱり気になるんだなって…きっと高座を見てもアドバイスとかしないんだろうけど、でも最初から最後までじっと見ている龍玉師匠の姿を見ていて、なんかじーんときちゃいました。

で、私がこんな話を長々しているのはなぜかというと…これからするお話がそんなに山場がないというか…正直面白くないんですね。その分龍玉師匠のされる「豊志賀」が文句なく面白いですから。まぁそうやってバランスとってるんですね。

…そんなまくらから「慶安太平記−丸橋忠弥登場〜忠弥正雪と立ち会い神田」。
丸橋忠弥という槍の名人が、自分の道場のそばに道場を作り自らを「名人」と名乗る正雪が気に入らない!と自分の義兄弟を訪ねて「一緒に倒そう」と持ちかけるところから。
義兄弟に「あんなのは山師に決まってるから相手にすることはない」「万が一こちらが負けるようなことがあれば損をするばかり」と相手にされなかった丸橋。
血の気の多い人なので「兄弟の縁なんかきってやる!」と言って家を飛び出すのだが、少し弱気なところもあるのでそのまま一人で正雪の道場を訪ねることはしなかった。
自らが正雪の道場に道場破りを仕掛けると、その門弟とも勝負しなければならないし損だと考え、正雪が足繁く通う絵師のもとを訪ねそこで正雪に勝負を挑むことを企む。

企み通り正雪一人のところに勝負を仕掛けることに成功した丸橋だったのだが、正雪に勝負は自分の道場でしようと言われ、しぶしぶ従うことに。
いざ道場へ行くと、さんざん待たされたあげく、門弟とも戦わなければならなくなってしまう。
しかし丸橋の槍の腕前は素晴らしく、門弟ではまったく相手にならず、正雪も槍では叶わないのだが、最後追い詰められた時に槍を投げ捨て白扇一本を手に気迫だけで丸橋を「参った」と言わせる。
このことで丸橋は正雪がただの山師でないことを悟り、また正雪も丸橋の槍の腕前を認め、自分の道場に1日おきに槍を教えに来てもらうように乞う。

こうして丸橋を抱きかかえることに成功した正雪は、この後丸橋の義兄弟も自分の味方に引き入れ、幕府転覆にむけて着々と準備を進めることに…。

今回の話はぱっとしないというわりにやっぱり面白くて夢中になって聞いていた。
松之丞さん、「引き」が以前よりもっとうまくなっていて、緩急が自在なので聞いていて気持ちいい。
決して好きな「芸風」ではないのだけれど、やっぱりさすが面白い。


龍玉師匠「真景累ヶ淵−豊志賀」
まくらなしで。
「豊志賀」はこの間馬治師匠で初めて聞いたのだけれど、面白いなぁ…この噺。
決して好きなタイプの噺じゃないけど、なんかこの…豊志賀の気持ちもすごくよくわかるし、新吉の気持ちもよくわかる。
堅いと言われていた豊志賀が、自分より18歳も下の新吉とふとしたことから深い仲になり夢中になってしまう。
そんな豊志賀のもとから弟子はどんどん去って行き、残ったのがお久という若い娘。それほどの器量よしではないけれど男好きのする愛嬌のある娘で、これに嫉妬した豊志賀が病になり目のところに出来物が出来て容色が落ち、それを気に病んでますます病が酷くなり、嫉妬の炎を抑えることができず奇行に走るように…。

豊志賀がどんどん不気味になっていき、それに新吉が気持ち悪がり…でもそれを隠し看病をし…でも…というこの二人の葛藤がとても真に迫っていて怖い。

笑っちゃったのは豊志賀がこんな風になってしまったことを「でも仕方ないんです。この時豊志賀は39歳。39歳と言えばもうおばあさん…。はっ!今の時代じゃないですよ!今は39歳といえばまだまだ女盛り。60歳といってもまだまだ…!でもこの時代は寿命が50歳という時代ですから。その時代の39歳ですから。今の39歳を言ってるわけじゃないんです」。
こんなに冷酷に噺を進めていた龍玉師匠が急に素に戻っていつまでもくどくど言い訳するのがおかしくておかしくて。

怖くて陰惨だけど面白い!次回がまた楽しみ。