りつこの読書と落語メモ

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柳家小はぜ勉強会 其の三

8/12、和光大学ポプリホール鶴川で行われた「柳家小はぜ勉強会 其の三」に行ってきた。


・小はぜ「道灌」
・小はぜ「宿屋の富」
~仲入り~
・小はぜ「百川」


小はぜさん「道灌」
この日は朝太郎さんが勉強に来ていて始まる前の挨拶と諸注意をしたんだけど、実は当日になるまで全く知らなかった、という小はぜさん。
たまたま後ろから会場をのぞいたら朝太郎さんが挨拶をしているところで…自分以外の人間が緊張しているのを見るのはいいものですね。なんかこう…励まされます。
でも勉強させてくれと言われても彼とは1年しか違わなくて、私も二ツ目になってやっと半年なので、なにもないんですけどね。
そしてこういうところを見られるのは恥ずかしいなという気持ちがあります。でもそれと同時に、こんな会場でこんなに大勢のお客様がいらしてくれてるんだよ!と、そこは見てもらって嬉しい気持ちもあります。

今日はお盆のさなかにこんなに大勢来ていただいてありがとうございます。他にしなくちゃいけないこともあるでしょうに…。
こういう時にせっかく来ていただいたので、なにかこう「場所」を感じられる噺を続けて申し上げようと思います。

…小はぜさんの人柄がにじみ出るようなまくらが大好き。
ご本人はきっとまくらは苦手なんだろうけど、聞いていてほんとに微笑ましくて応援したくなっちゃうんだな。

そんなまくらから「道灌」。
小はぜさんで一番聞いているのがこの「道灌」だけど、二ツ目になってから聞くと印象が少し変わってる。
前座の頃はとにかく素直に…何も入れずに淡々とやっていたけど、今も余計なものは何一つ入ってはいないんだけど、でもなんだろう、茶目っ気があるっていうか…それが小はぜさんの味なのかな、そういうものがにじみ出ている気がする。
小はぜさんの目指す落語がほんの少し垣間見れる気がして、好きだな。小はぜさんの「道灌」。


小はぜさん「宿屋の富」
馬喰町を舞台にした噺とは知らなかった。
宿屋の主人に奥さんが「二階の客が怪しい」「もう二十日いるのにほとんどでかけないしお金も一銭も入れない」と言うところから。
奥さんに言われて主人が仕方なく客のもとを訪れて前金をもらおうとすると、客が自分はこんななりをしているけどとんでもなく金持ちなのだ、と話しだす。

次々繰り出すありえない金持ちエピソードを全て信じて感心する宿屋の主人がなんともいえずチャーミング。
感心しきりの主人が、自分は悪い癖があって(おそらく博打?)前はちゃんとした宿屋をやっていたのだがだめにしてしまって今はこんな汚い貧乏宿屋をやっている。それだけじゃ生活できないので富くじを売ってる。というような打ち明け話をして、「そんなにお金があるんだったら売れ残ってるくじを買ってくれないか」と頼む。
「そんなのがあたって金がますます増えたら困る」と客が言うと、「当たらないんです!」と主人。それでもそういう無欲な人ほど当てたりするから、もし当たってしまったら私に半分くれませんか?

主人がいなくなってから「こんなもんは当たらないだよ」「おら知ってるだ」と言いながら、でもまぁ見に行ってみるか、と出かけていき、結果を見て真っ青になって帰ってくる。
そのすぐあとに主人も真っ青になって帰ってくる。

ほんとに客の言うことを100%信じ切ってる主人が、客が当たった半分を分けてもらえる!と心底喜んでいて、その姿をみて「良かったね…」と思えたのも初めてだったなー。
面白いな、同じ噺でも、こんなふうに印象が違うのって。


小はぜさん「百川」
さきほどの「宿屋の富」はネタ卸しでした、と小はぜさん。
田舎者が出てくる噺というのが落語にはありますけど、この噺は田舎者が出ずっぱりなのでやってみるとそこがとても大変で。
そもそも自分にないもので、稽古をしていても、なんか違う…これはちょっと無理がある…と悶々と。
自分は今実家暮らしをしているので、そうやってちょっと煮詰まってイライラしている時に母親が部屋に入ってきてなんだかんだと言われると、「あんだと?!」と思わず口答えしていたりして、母親も「あんたどうしたの?ついにおかしくなった?」と。

あ、あと思い出したんですけど…、私、家で汚い作務衣を着てまして。作務衣っていうのはあの…お寺の人が落ち葉を掃くときに着ているような服で…って別に落ち葉掃くときだけじゃないですけど、着るのは…。
かなり年季の入った作務衣なんですけど、この間家で一人でいたらピンポンが鳴りまして、開けてみるとこれが…きれいな女性が日がそんなにさしているわけでもないのに日傘をさして…いわゆるこの…宗教の勧誘の方たちだったんです。
それが私が出て行ったら、坊主頭で作務衣を着ているものですから、「あ、間違ったところに来ちゃった」とすぐに察していただけたようで…。

…ぶわははは!!そのエピソード、最高!

そんなまくらから「百川」。
これは日本橋が舞台。
「宿屋の富」と少しテイストが似ているのでは?と思ったのだが、この「百川」がとてもよかった。

なにがいいって、小はぜさんの江戸っ子がとても威勢がよくて、そしてなんかこう持って回った言い方をするのが、百兵衛さんのなまりと同じぐらい何言ってるかわからない感があって、だからただ田舎者を笑うっていうんじゃなく、お互いに何言ってるかわからないんだな、っていう楽しさ。
この噺ってただ田舎者を笑うっていうふうになる人もいてそうするとなんかあんまり好きじゃないな、この噺、って思うんだけど、この両者の対比がとても楽しくてよかった~。

ちゃんと目指すものを持っていてひたむきに頑張る小はぜさん。
こちらの会はそんな小はぜさんを温かく見守るお客さんが大勢で、とてもいい雰囲気だった。