母の記憶に
★★★★
不治の病を宣告された母は、誰より愛するひとり娘を見守り続けるためにある選択をする。それはとてつもなく残酷で、愛に満ちた決断だった…母と娘のかけがえのない絆を描いた表題作、帝国陸軍の命で恐るべき巨大熊を捕らえるため機械馬を駆り、満州に赴いた探検隊が目にしたこの世ならざる悪夢を描いた「烏蘇里羆」、脳卒中に倒れ、入院した母を、遠隔存在装置を使用して異国から介護する息子の悲しみと諦念を描く「存在」など、今アメリカSF界でもっとも注目される作家が贈る、優しくも深い苦みをのこす物語16篇を収録した、待望の日本オリジナル第二短篇集。
前作「紙の動物園」よりもっと骨太な印象。
ジャンルはSFだが、描かれるのは家族のことだったり極限状態に追い込まれての選択だったり人間の良心だったり…。
読んでいて胸が苦しくなるような作品が多く、読むのに時間がかかった。
好きだったのは「草を結びて環を銜えん」「母の記憶に」「存在」「シミュラクラ」「ループのなかで」。