ピンポン
★★★★
原っぱのど真ん中に卓球台があった。どういうわけか、あった。僕は毎日、中学校でいじめられている。あだ名は「釘」。いじめっ子の「チス」に殴られている様子は、まるで釘を打っているみたいに見えるからだ。スプーン曲げができる「モアイ」もいっしょにいじめられている。モアイと僕はほとんど話したことがない。僕らは原っぱの卓球台で卓球をするようになる。空から、ハレー彗星ではなく、巨大なピンポン球が下降してきた。それが原っぱに着床すると激震し、地球が巨大な卓球界になってしまう。そして、スキナー・ボックスで育成された「ネズミ」と「鳥」との試合の勝利者に、人類をインストールしたままにしておくのか、アンインストールするのか、選択権があるという…。
圧倒的に強い相手からいじめられている中学生の「釘」と「モアイ」。ペアでいじめられている彼らの毎日は絶望でしかないのだが、ある日原っぱの卓球台を見つけたことから二人は「卓球で」話をするようになる。
青春小説かと思いきや終盤になると驚きの展開を見せてちょっと付いていけない部分もあったのだが、「ピンポンピンポン…」のリズムがくせになる。
作中作がとても魅力的で、この物語自体も「釘」の創作?と感じられる側面も。
とても面白かった。