りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第40回 夏丸・伸三だしぬけ二人衆

7/18(火)、お江戸両国亭で行われた「第40回 夏丸・伸三だしぬけ二人衆」に行ってきた。
会社をぎりぎりに出たら総武線が止まっていることに気が付いてあわてて別のルートで両国へ。どうにかこうにか間に合って汗だくだく。ぜいぜい。
それにしても素敵な二人会。二人会ってたいてい二席ずつだから、一人が好きでももう一人が苦手だと行きづらいんだよね。この組み合わせはほんとに俺得。ブラボー。


・夏丸「猫と僕/猫と金魚」
・伸三「盃の殿様」
~お仲入り~
・伸三「千早ふる〜深川」
・夏丸「代書屋」


夏丸さん「猫と僕/猫と金魚」
真打になることが決まった夏丸さん。一緒になるのが講談の蘭さんということで二人だけの真打。たくさんトリがとれていいなぁ…でも大変そうだなぁ…チケットとか打ち上げとかパーティとか…。
「これからお披露目のチケットも届くので、この後私の会は”落語を聞いていただく会”じゃなくて”チケットを買ってもらう会”に変わります」と言っていたけど、確かに…前に夢丸師匠も「凶器になるぐらいの厚みで来た」と言っていたからなぁ…。
でも自分が応援していた二ツ目さんが真打になるってすごく嬉しい。私なんかはただの客だけどそれでもちょっとこう…感無量。
なんていうと、それを形で示せと言われそうだな…。どきどき。

それから猫好きで有名な夏丸さんが今まで実家で飼っていたペットについての話。
夏丸少年の命を救ったチビの話とか…そのまま新作になりそう。
そして頭がよくてすばしっこかった一代目のタマ、今も生きている頭のよろしくない二代目のマルの話が楽しい~。夏丸さんって淡々と語るんだけどそれがなんともこう味わいがあって楽しいんだよね。このまくらにも「猫と僕」という名前が付いていたぐらいだから…完成度が高い。

そんななが~いまくらから「猫と金魚」。
この番頭さん…黒い…そしてくまさん、最初から弱そう(笑)。

猫好きの夏丸さんが猫を怖がる噺って…シュール。

伸三さん「盃の殿様」
久しぶりの伸三さん。うれしい。


視力をよくしたいと思い続けているので「これをやれば目が良くなる」という本を見かけるとついつい買ってしまう。
この間もそういう本を買って読んだら、近眼というのは目の筋肉の衰えなので、毎日これさえやればよくなるという体操?が書いてあった。簡単だからこれならできると思い、やっているんだけど。

それが、目をつぶって明るいものを見る。それから目をぐるぐる激しく動かす。
これだけでいいっていうんで、自分は信号待ちをしているときとかよくやっている。目をつぶってお日様を見上げて、それから目をぐるぐるっと回して…。
これってまるで「かぼちゃ屋」の与太郎さん…。

…うーん。当たり前のように「目をよくしたい」って…「みんなもそうでしょ」ぐらいの勢いで言うんだけど、仮性近視になったばかりの小学生ならまだしも…この年になってそれに全力で取りかかっている人ってそんなにいないような…。やっぱり伸三さんって面白い。

そんなまくらから「盃の殿様」。前に聞いたことがあったっけと自分のブログを検索したら、喜多八師匠で聞いていたんだった…ああ…。
仮病を使っていろいろなことを断って家にこもっているうちにほんとに具合が悪くなってきてしまった殿様。どうにか殿様に元気を出してもらおうと花魁の絵が描いている札を見せてみると、「こういう女が実際に存在するのか」と一気にノリノリに。
吉原などは悪所だから殿が行くようなところではないとお目付け役に禁じられるとすねてしまって始末に負えない。
仕方ないので「見るだけ」の約束で吉原へ行って花魁道中を見ると、今度は話してみたい。話してみると今度は泊まって行きたい。お気に入りの花魁もできていい仲になるのだが、参勤交代で国元へ帰ることに…。

駄々をこねる殿様が「きもちわるい」の一歩手前ぐらいな感じで、でもなんかかわいらしいようなかわいそうな感じもあって、それが伸三さんとも重なってなんともいえない繊細な面白さ。
うひょー。伸三さん、いいなぁ。前からいいなと思っていたけどとてもいいなぁ。しかもこういうレアな噺をするところがいい!


伸三さん「千早ふる〜深川」
前半がたっぷりめだったので後半はわりとあっさりと。
きょとんとしている伸三さんと「先生」の嘘話に「え?なんかおかしくない?」と言いながらも「あーなるほどね」と丸め込まれてしまう男が重なって面白い。
この会はトリじゃない方が何かしないといけないのでと「深川」を。所作がきれい!


夏丸さん「代書屋」
この間浅草で見たのと同じ、途中に五木ひろしショーが入る「代書屋」。楽しい!

夏丸さんってすごくまじめそうで繊細そうなんだけど、ちょっと何を考えてるかわからないようなつかみどころのなさがあって、それが落語に底知れない魅力を与えていて、なんかもっと見たい、もっと知りたい、という気持ちにさせる。

真打になったらもっとすごいことになる気がするなぁ。
真打披露目、楽しみだ~!