りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第四回 夢丸の〇〇

7/10(月)、上野広小路亭で行われた「第四回 夢丸の〇〇」に行ってきた。

夢丸 ご挨拶
金かん「道灌」
夢丸「羽織の遊び」
夢丸「夢八」
~お仲入り~
夢丸「木乃伊取り」

夢丸師匠 ご挨拶
いつものように開演前に夢丸師匠が出てきての御挨拶。
今回は船の仕事に行った時のお話。ブログにも書いてあったけど、短い上陸時間の間にお風呂屋さんに行ったり、地元の漁師さんがとってきた魚を網焼きしているのを一緒に食べさせてもらったり(ちゃんとお金を払うところが律儀な夢丸師匠らしくて素敵)…そういうことがみなこの人の血となり肉となっているんだろうなぁ、というのが伝わってきてとても素敵だ。
夢丸師匠を見ていると、自分もいつの間にかニコニコ顔になっているんだよなぁ…。

そしてこの後にあがる前座の金かんさんのことを紹介。

彼はすごい人でして。年末に芸協の寄合があってそこで前座さんは余興をやらないといけないんですけど、もうこれが地獄なんです。私も前座の頃やりましたけどもう二度とやりたくない…。まぁウケるものといったら師匠方の物まねぐらいなもんなんです。
ところが彼は違った。
兄弟子の金の助さんが元ボクサーでグローブをつけてパンチするんです、それを金かんさんがミットで受けるんですけど、それをお囃子に合わせてやって音楽を演奏したんです。これがもう絶妙で。優勝でした。
だから彼はしばらくの間伝説の前座でした。
でも考えてみたら金の助さんは元ボクサーだけど金かんさんはただの素人なわけで、ミットで受けただけっていえばそうなんですけど…。

…ぶわははは。最高だな、そのエピソード。
そういえば金の助さんがこの会に前座で出た時に、元ボクサーって紹介してたな。
こうやって前座さんにも気を使う夢丸師匠、素敵…。
特にこの金遊一門の前座さんってまくらもふらないしニコリともしないで渋く落語だけして帰って行くから、こういうエピソードを聞かせてもらうのってすごくありがたい。


金かんさん「道灌」
そうだそうだこの人だ。思ってた通り、まくらなしで「道灌」。前にも金かんさんの「道灌」は聞いたことがあったけど、いいなぁ…。さすが金遊師匠のお弟子さんだ。渋い(笑)。

 

夢丸師匠「羽織の遊び」
初めて聞く噺。
この会は夢丸師匠が二席ネタ卸しをするんだけど、こうやって変わった噺を聴けるからほんとに楽しい。

町内の若い衆が集まって金はないけど遊びに行きたいなぁと話しているとそこにやってきたのが若旦那。この人が気障で何言ってるかわからない人物なんだけど(「酢豆腐」に出てくる若旦那)この人をおだてて吉原に連れて行ってもらおうと企む若い衆。
思惑通り連れて行ってくれることなるんだけど、羽織は着て来てくれと若旦那。羽織を着てこなければ吉原に行けないと聞いて、さてどうしようと困った男。自分の親方の家に行っておかみさんをどうにかごまかして羽織を借りて行こうとするのだが…。

好き嫌いは分かれるだろうけど、私はこの若旦那が大好き。「コンツワ」とか「セツは…」とか、もうなんなの、これ?っていつも大笑いしてしまう。
最初から最後までバカバカしくて楽しかった!


夢丸師匠「夢八」
おおお、またこういうブラックな噺を。この噺も大好き。だけどなかなか寄席でもかけづらいだろうなぁ…。生では一琴師匠でしか聞いたことがない。

酷い噺だけどおかしいなぁ。この「つり」の番をする八つぁんが眠りが浅くて毎晩変な夢ばかり見ているっていうのがこの噺の伏線になっているのか!というのが今回ようやくわかった!

3席目のまくらで夢丸師匠が、この落語をやるにあたって鳴り物入りでやってみたくて金かんさんにお願いをして、会の前に合わせてみようと言ったら、「いえ、練習して来たんで大丈夫です」と言われ「え?」と言ったら「youtubeで名人の夢八をたっぷり見て練習してきました」と。
…名人をたっぷり見た後に…やりづらいわ!と言っていたのがおかしかった。


夢丸師匠「木乃伊取り」
飯炊きの清蔵が夢丸師匠にぴったり。
そして番頭も頭も、旦那に頼まれた時から遊ぶ気満々だったっていうのと、旦那が本当に堅くてそういうことがまったくピンときてないっていうことが、見ていて初めてわかった。

たっぷり3席、どれも楽しくてまくらも面白くて満足~。