りつこの読書と落語メモ

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赤坂倶楽部 第三回小はぜの一本釣り

6/16(金)、赤坂会館で行われた「赤坂倶楽部 第三回小はぜの一本釣り」に行ってきた。


・小はぜ「みょうばん」
・小はぜ「加賀の千代」
・小はぜ「富士詣り」
~仲入り~
・小はぜ「巌流島」


小はぜさん「みょうばん」
回を重ねるごとにお客さんがどんどん増えてきているこの会。「今日は今までで一番のお客さまでして…下駄箱を見て驚いてました」と小はぜさん。
前の二回が雨で…今日は珍しく晴れたから、そのせいかな?とか、でも私は大変な雨男なので今日も夕方から徐々に曇り始めて雷も鳴ったりしているのでもしかすると帰るころには…とか、ぐじゅぐじゅ言ってる小はぜさんがかわいい…。

そして、いつもは3席なんですが、今日はそれに加えてとても短い噺をやりますので、お土産代わりに持って帰ってください、と。

なんでも学校寄席のお仕事をいただいたらしく、今まで前座として行ったことはあるけれど二ツ目になってからは初めて。
鳴り物教室をやることになっているんだけど、ちょこっとだけ高座もあるかもしれない、でも持ち時間はとても短いと言われて思い出しのたがこの噺。

昨年末にニツ目が全員出る会というのがあってその時に持ち時間が5分から10分ぐらいだから何か短い噺を…と思ってニツ目の兄さんに教えていただいた。
それぐらいの時間だと漫談であがる兄さんも多いけど自分は漫談なんかできない。10分持ち時間があったら9分落語やってあとの1分で出入りをするぐらい。
だからどうしてもこの短い噺が覚えたかったのだ、と。

これがとってもかわいい噺で。

主人が定吉を呼んで、金魚の水を替えたのか?と聞くと、替えました、と定吉。
どこの水を入れた?と聞くとやかんの水を、と。
それは水じゃなくてお湯だろう!なんで井戸の水にしなかったんだ?と言うと、井戸の水が濁っていたから、と言う。
ああ、夕べの雨で井戸の水が濁ったんだな。そういえばこの間井戸の水をきれいにするにはミョウバンをいれておくといいと言われたんだった。お前、薬局へ行ってミョウバンを買って来い。
そう言われた定吉がミョウバンミョウバン言いながら歩いているとくまさんにばったり。
「あ、くまさん。あのね、私ね、今晩は旦那にお芝居に連れて行っていただけるんです。それでね、お芝居も楽しみなんですけどね、もっと楽しみなのは今晩出していただけるお弁当なんです。豪華なんですよ。いいでしょ?羨ましいでしょ?」
そんな軽口を叩いてから別れてまた薬局へ向かう定吉。今度は「こんばんこんばん」口ずさみながら…。

小噺というにはちょっと長めの確かにかわいらしい噺。

話し終わったあとに「今度行く学校が女子校なんです。中学か高校かはわからないんですけど、でも女子校ですから。きっと落語なんかわからないでしょうし。だからこれぐらいのかわいらしいわかりやすい噺がいいかな、と思って。それで私なんかはめくりもないでしょうから、名前もわからなくて。定吉さーん、なんて声をかけられたりして。」

てへへっと笑いながら妄想を語る小はぜさんに、「そんなこと、多分ないと思うよ…。でもあるといいね、そんなことが…」と、私以外のお客さんもみな思っているのが伝わってきて、なんともいえずいい雰囲気に。


小はぜさん「加賀の千代」
夏休みの話をまくらでし始めたので「お、これはこの間聞いた…そうだ、朝顔が出てきて…加賀の千代か!」とわかってしまう私は相当な小はぜ通。
漫談というのが苦手とおっしゃってる小はぜさんだから、まくらもあらかじめ考えてくるんだろうけど、これがすごく微笑ましいっていうか、じんわりと効いてくる感じでセンスの良さを感じる。

「加賀の千代」、鶴川の時同様、甚兵衛さんのかわいらしさが際立って、見ていてにこにこしてしまう。
あっさり二十円出してくれる大家さんに戸惑って「ちがうんです」ともごもご言う甚兵衛さん。ネタ晴らしをして大家さんが「そうかい。手数がかかるね」と10円を出してきたときの満足そうな笑顔のかわいいこと。

梅雨のこの季節に「加賀の千代」。いいな。


小はぜさん「富士詣り」
お山のまくらから「富士詣り」。
先達さんに頼りっぱなしの若い衆たちが楽しい。
先達さんが、休憩をしながら若い衆を脅かして懺悔話を聞いて楽しもうというのが今回は伝わってきた。

自分のおかみさんにちょっかい出されたと聞いても、しょうがねぇなぁ!と許してくれる先達さんの人間の大きさよ…。


小はぜさん「巌流島」
これはもう何回も聴いているし、小はぜさんの得意ネタなんだろう。
聴くたびにどんどん面白くなっていくし、人物がくっきり。
気持のいい船頭さん、えばりくさった若侍、わいわいがやがやの若い衆、威厳のある年をとった侍。
特に侍がとても堂々としていて侍らしく、噺がぴしっとしまる感じ。

きっと「加賀の千代」も「富士詣り」も何度もかけるうちに、またどんどんよくなっていくんだろう。
楽しみだなぁ。
小はぜさんは素直なかわいらしさを持ちながらも、頑固というか自分の信じる道をゆっくり歩いて行こうという姿勢がうかがえるから、これからがほんとに楽しみ。小はぜさんに関しては見守る楽しさを噛みしめる私である。