りつこの読書と落語メモ

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立川談幸「愛づらか百撰」第49回

6/15(木)、日暮里サニーホールで行われた『立川談幸「愛づらか百撰」第49回』に行ってきた。
・幸之進「つる」
・談幸「汽車の白浪」
・談幸「鉄拐」
~仲入り~
・談幸「一つ穴」

幸之進さん「つる」
ニツ目に戻れて(!)とってものびのびした印象。
ところどころが違っているのは幸之進さんの味付けなのかな。
面白かったんだけど、でもそうすると全体的に散漫な感じになってしまうのがちょっと残念。ま、「つる」だからいいんだけど。

談幸師匠「汽車の白浪」
珍しい噺、めったにやられない噺をやるというこの会、ニツ目のころからされていて今回が49回目。毎回2席はネタ卸しをしているから次回でついに100席になる。

「珍しい」といってもランクがあって「ほんとに珍しい、誰もやらない噺」から、「たまに聞くちょっと珍しい方の噺」まで。
今回ネタ出しされていた噺は2つとも、まず聞くことがない噺。私も今日やるのが初めてでみなさまも聞くのが初めて…そしてもうこの先二度と聞くことがないかもしれない…。

昔はテレビがなかったから娯楽といえば寄席でみなしょっちゅう寄席に通っていた。
そうすると飽きられちゃいけないっていうのでその時はやっているもので新しく落語を作ってみたりしてどうにか目先を変えようと考える。
不思議なことに、そういう新しく入れたものってあっという間に古くなってしまう。
「汽車の白浪」も、当時「汽車」といえばハイカラな新しいもの、それに「白浪」っていう昔の怪盗の名前が入るから、そのアンバランスさがよかったんだろうけど、今となっては「汽車」というのも古めかしい。

そんなまくらから「汽車の白浪」。
大阪の商人が商用で横浜に行った帰り、終電に乗って新橋まで行こうというのだが、電車は一人も客がいない。ちょっと怖いなぁと思っていると、おつな年増が乗り込んできて奥の方の席に座った。
旅は道連れとばかりに女に話しかけ意気投合。すると途中で目つきの悪い男が汽車に乗り込んでくる。
ああいうのには気をつけなきゃいけないと言いながら二人で新橋で降りたのだが、そこで目つきの悪い男の仲間がいてみんなで女を連れて行ってしまう。
助けようとしたのだが突き飛ばされて腰を痛め、泣く泣く宿へ戻り、懐に入れていた財布がないことに気づく。
さてはあの男たちが盗んだのだなと思っていると、次の日その男が訪ねてきて…。

確かに談幸師匠が最初に言っていた通り、なんともいえず昔っぽい…昭和?明治テイストなのかな。
でも好き好き、こういう噺。「たいして面白くない」なんておっしゃらず、やってほしいなぁ…これからも。


談幸師匠「鉄拐」
これはどこかで一度だけ聞いたことがあるような…。ブログに書いてなかったから、音源で聞いたのかなぁ…。
談志師匠が好んでやられていた噺とのこと。

上海に店を構える問屋が毎年お客様を招いて行うパーティの席で毎回出し物をやっていたのだが、年を重ねるごとにハードルが上がって困り果てた主人。奉公人に「何か珍しい芸をするものを連れて来てくれ」と送り出すのだが、早々珍しい芸をするものになどで会えない。
困っていると山中で迷子になってしまい、そこで分身の術を使う鉄拐という仙人と出会う。
拝み倒して来てもらうと、素晴らしい芸だ!と大評判。鉄拐は寄席にも呼ばれ大看板となる。

弟子もとって増長してしまった鉄拐は寄席をさぼったり酒を飲んだりどんどん評判を落としてしまう。
もっといい仙人がいないかと山に入って行くと、張果老という瓢箪から馬を出す仙人に出会い、スカウトして寄席に出てもらうことに。
これが評判になり、面白くない鉄拐仙人。馬を盗んでやれと張果老の寝込みをおそい…。

…こういう噺、大好き~。
奇想天外だけど結局はばかばかしいっていうのがたまらない。
楽しかった!


談幸師匠「一つ穴」
悋気のまくらから「一つ穴」。
旦那が浮気をしているからと権助に旦那の後を追わせたおかみさん。権助が突き止めた妾宅のもとへ乗り込んでいく。
女中が、しらを切ろうとしたのだがおかみさんは家に上がりこんでしまう。
気持ちよく眠っていた旦那は目が覚めておかみさんがいるのでびっくり。
あれやこれやと見え透いた嘘を並べるのだが、おかみさんが負けずに言い返すので、いよいよどうしようもなくなり居直ることに…。大喧嘩になったところに権助が心配してあがりこんできて…。

…これは面白い!
特に旦那がおかみさんに見え透いた嘘を言うところがたまらなくおかしい!
確かにちょっとどぎついかもしれないけど、でも面白いよ!寄席でもかけたらいいのに。

「これは違うんだ。〇〇くんの知り合いで無理やり連れてこられたんだ」
「当人の〇〇さんがいらっしゃらないのはどういうわけですの?」
「あれ?ほんとだ。…先に帰っちゃったのかなぁ…」
「なんで枕が二つ並んでいるんです?!」
「それはあれだ、この家の者が心配性なんだな。枕から頭が落ちたらどうしましょうっていうのでもう一つ置いてくれたんだ」

談幸師匠の軽くて落ち着いた語り口でそらぞらしい嘘が次々出てくる楽しさったら!

話がおわったあとに談幸師匠が「こういう時はどんなにそらぞらしくても嘘を突き通すのがいいんです。絶対に認めちゃだめなんだそうです」と語ったのがめちゃくちゃおかしかった。
そうなのか!なるほど!勉強になるなぁ(笑)。