りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

不機嫌な女たち

 

 ★★★★

初めて夫に欲望を感じた妻が夫の本心を知る「幸福」。不慣れな外国で出会った親切な老人との午後の行方は…「小さな家庭教師」。不穏なお迎えが老女を怯えさせる「まちがえられた家」。裕福な女が夫の一言で、貧しい女に嫉妬の炎を燃やす「一杯のお茶」。夫の友人の熱情を弄ぶ人妻を描く「燃え立つ炎」。小さな幸せを、思わぬ言葉で打ち砕かれる独身女性「ミス・ブリル」。大人社会そっくりの歪んだ人間関係にからめとられた少女たちの「人形の家」など、選りすぐりの十三篇。感情の揺れを繊細にすくいとり、日常に潜む皮肉を鋭く抉り出す、短篇の名手キャサリンマンスフィールドの日本オリジナル短篇集。新たに発見された未発表原稿「ささやかな過去」収録。  

面白かった~。女たちが不機嫌になる理由は様々だが、自分のあしもとがぐらつくような不安や危機に対面したとき、人は不機嫌になるのだろう。
今まで自分が拠り所にしていたものがこうとたやすく壊れるものだと気付いた時のショックは大きく、すがりついたり取り繕う前に「不機嫌」になってしまうのだ。

意地悪で皮肉で…でも繊細で知的。キャサリンマンスフィールドを読んだのは初めてだがそんな印象を持った。

「幸福」「ガーデン・パーティ」「ミス・ブリル」「見知らぬ人」「小さな家庭教師」「蠅」が特に好き。