りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

静かな雨

 

静かな雨

静かな雨

 

 ★★★★

忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない。新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在がすべてだった行助。『羊と鋼の森』と対をなす、著者の原点にして本屋大賞受賞第一作。 

これがデビュー作なのか。小さいけれど心に響く物語。

毎日を作り上げているのは記憶じゃなくて「思い」っていうの、いいな。

リスがたいせつなクルミを隠すように、積み上がらない記憶をメモに残してあちこちに隠しておくこよみさんが愛しい。
月夜に涙を流すこのみさんの姿が目に浮かぶ。一枚の絵のような静かで印象的な物語だった。