りつこの読書と落語メモ

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さん助ドッポ

5/29(月)、お江戸両国亭で行われたさん助ドッポに行ってきた。

・さん助 初代談州楼燕枝の述「西海屋騒動」より第八回「舞扇のお静(前編)」
~仲入り~
・さん助「へっつい泥」
・さん助「おせつ徳三郎」

さん助師匠 「西海屋騒動」より第八回「舞扇のお静(前編)」
まずはいつものように立ち話。

前回から「西海屋騒動」がいよいよ本編に入るということで、それまでのあらすじをここで解説したんですが、これがもう…驚くほど不評でして。初めてのお客様だけじゃなく今まで見てきたお客様さえも私の解説を聞いて逆に「?」が浮かんでしまったという…。
私ほんとに説明下手なんですね。
この間も鈴本で「へっつい泥」をやったんですけど、へっついについてわかってもらわおうと思って一生懸命説明したんですが、説明すればするほどお客様が困惑。
今日の鈴本では解説なしで「へっつい泥」に入ったんですが、今日の方がご理解いただけた模様。
ですので、今日はあらすじなども申さずにお話します。

あ、あと今日初めていらっしゃるお客様から「両国亭ってどう行くの?」と聞かれまして、「ええと…あれです。昔は警察署がありまして。その隣だったんです。昔は警察署が…」と言うと「いやそれじゃわからない」。
「じゃ、ええとお寺がありましてそれを背に歩いていくと…いやあの橋があるのでそれを…」
あれこれ説明したんですが「いいや。ネットで調べていくから」。

…わはははは。
私も説明下手だけどさん助師匠の説明下手もかなりのものだよなぁー。
噺家で口下手って…そんな噺家さんもいるんですね…。
あ、私もプログラマーだけどITに弱いから、人のことは言えないか。

西海屋の跡取り息子宗太郎が品川に行って夢中になってしまったのが「舞扇のお静」という花魁。これがとんでもない悪女。
今回と次回はこのお静についての物語。
ということで。

麻布で八百屋を営む太助とお安の間に生まれたのがお静。
待望の赤ちゃんということでかわいがられて育ったのだが、お静が8歳の時に太助が病に倒れてしまう。
太助が医者に見せてもなかなかよくならないので、お安が大家さんに相談に行くと、大家が知り合いに長坂南碩という展医がいる。本来であれば我々庶民が見てもらえるような先生ではないが自分は懇意にしていて近しい者に何かあれば見てあげると言われているのでその先生を紹介しよう、と言ってくれる。

太助の家を訪ねてきた長坂は太助を診察したが「自分は治療はできるが寿命を延ばすことはできない」と見込みがないということを告げる。
「ところで家の前で遊んでいたのはその方の娘か?」見目麗しいお静が目にとまったらしい。
長坂の言う通り太助は数日後に亡くなってしまう。

1か月後にお安が長坂のもとにお礼に行き、お安が夫を亡くして子どもを抱えていると仕事に出るのも大変だと愚痴をこぼす。
それを聞いて長坂がお静を自分にくれないか、と言う。
お安はもともと自分は子供はほしくなかったのだが亭主がほしがったから産んだのだと言って承諾する。

お静を引き取った長坂は歌や踊り、三味線などをお静に仕込んだのだが、とりわけて踊りの方が大変うまく、また非常に美貌だったため、たちまち江戸中の評判に。
お殿様のお屋敷で宴があったりするとお呼びがかかるようになる。
町の若い衆も隙あらば…とお静を狙っているのに気付いた長坂は、変な虫がつく前にお屋敷に入れようと考えた。
というのは長坂はなかなかの山師で、お静を利用して出世をしようとたくらんでいたのである。

そんな中、侍が訪ねてくる。名前を小畑左内と名乗り、京極壱岐守の家来だというのだが、これが非常にいい男。
奥様がお静のことを気に入ったのでお静を屋敷に入れないかという申し出に、飛びつく長坂。
このお屋敷で後にお静が左内といい仲になり騒動がもちあがる…。

…なんか本編に入ってから、とても落語っぽくなった気がする。
娘を売ってしまうお安ってひどい母親だと思うんだけど、これがとても落語っぽく描かれていたから陰惨な印象がなかったし、お静に色目を使われてすっかりその気になってる若い衆たちとかいろんな登場人物が出てきて楽しかった
さん助師匠がアレンジを加えているのか、あるいはもともとそうなのか。
おかげで前よりずっと聞きやすくなってる。
時間も1時間みっちりとかではなく今回は30分ぐらいだったので聞いていて負担が少ない(笑)。
だんだん面白くなってきた?か?(喜んでるとすぐにまた話が破たんしていくので油断できない)

さん助師匠「へっつい泥」
「おせつ徳三郎」はネタ出しされていたんだけど、時計を見てまだ時間があまるようなので、と「へっつい泥」。
この間鈴本で見た時より面白かった!なんなんだろうなぁ。ほんとに落語って毎回違うんだよねぇ。だからこそこうやって何度も見に行っても楽しめるんだけど。生の楽しさ。まさに。

へっついを盗もうとするところがめちゃくちゃおかしい。
ちょっとしょんべんしてくる、と言ってトタンに当たって音がかんかんかんかん!って鈴本ではなかったけど、こればかばかしくて楽しい!
兄貴分がへっついを持ち上げて、弟分が縄を通そうとするんだけどうまくいかなくて「おめぇは不器用だなぁ、じゃ俺がやるからへっついを持ち上げてろ」と言ってやらせると「おもーい」といってあっさり手を離す弟分。
もうこのドタバタがすごく楽しくてばかばかしくて最高だった。

さん助師匠「おせつ徳三郎」
最初の「花見小僧」のところ、多分定吉がさん助師匠がやると「しゃっくり政談」の定吉みたいな、こまっしゃくれてエキセントリックな感じなんだろうな、と思っていたんだけど、呼ばれて出てきた定吉がもっとお兄さんな感じ。
驚いたのは、大旦那に問い詰められて定吉が答えている様子がとてもよかったこと。
この時の花見が定吉にとってはとても楽しくておいしいものを食べられてうれしい出来事だったんだな、というのが伝わってきて、逆に奉公人って大変なんだなぁとその辛さも感じられて、今まで「花見小僧」でそういう感じを受けたことはなかったので、びっくりした。

大旦那は温厚で人が良い感じで、定吉の話を聞きながら「それはよかったな」というような反応をしていて、なんかちょっとじーんときてしまった。
それだけに最後まで聞いて怒り出すところはリアル。やっぱり一人娘が奉公人といい仲になるなんていうのは許せないんだな…。

徳三郎は直情的というか苦労知らずな印象。
刀屋はとても落ち着いていて話を聞いてくれる安心感があるのだけれど、この間喬太郎師匠の「おせつ徳三郎」を見たもんだから、番頭に悪意があるのでは?刀屋のおやじのあやしいのでは?という色眼鏡で見てしまうのが、自分でもちょっとおかしい。

全体的に抑えたトーンで、なんかこう…いつものさん助師匠ではない、こう新たな一面を見たって感じ。
聞く前はさん助師匠が「おせつ徳三郎」を?!って思ってたんだけど、これが意外にも(!)すごくよくて、ああ、さん助師匠ってやっぱりさん喬師匠のお弟子さんなんだなぁ…と改めて感じたのだった。
とてもよかった。

次回「さん助ドッポ」 6/28(水) 両国亭 18時半開場 19時開演
●化け物使い
●初代談州楼燕枝の述「西海屋騒動」第九回「舞扇のお静(後編)」

その後は7/31、8/28、9/27