りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

4/26(水)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。


・さん助「西海屋騒動」より第七回「霊岸島船松町西海屋」
~仲入り~
・さん助「花見の仇討」

 

さん助師匠「西海屋騒動」より第七回「霊岸島船松町西海屋」
前回はダークヒーロー義松が西海屋に奉公に行くところまで。
いよいよ今回から本編に入るということで、立ち話で今までのあらすじを説明するさん助師匠。
いやこれがわかりにくい(笑)!
初めて来たお客様がいらしたのでその方たちに向けての説明だったんだろうけど、今まで見てきた私でもよくわからなかったよ!
自分でも「私説明が下手で…聞いたらますますわからなくなったと言われるんですが」と言っていたけど、いやほんとに、お前は百栄師匠の「怪談はなしべた」か!と突っ込みたくなるほど。
でもそれがまたおかしくておかしくて。この方はほんとになんというか…生き様が落語っていうか…。

そしこの「西海屋騒動」、こうやって自分で速記本を読み解きながら連続ものでやっているけれど、これで終わらせるつもりはなく、自分でまた練り直して今やられている「牡丹灯籠 お札はがし」や…ええと他にもええと…「お札はがし」しか浮かばないのが情けないんですけど、あんなふうに一話だけでも面白いっていうふうにまとめたくて…今、圓朝物をいろんな噺家がやるように、談州楼燕枝物も広めていきたい。

…そんな野望を持っているのか!すごいな!
なんかこの方は、とても謙虚でとても腰が低くて…でもなんか他の噺家さんと別のところを見ているっていうか、野望の持ち方が独自っていうか…面白いなー。
さていよいよ本編へ。

海鮮問屋の西海屋は大きな店なのだが、ここの主である平兵衛はとても情け深くて「仏の平兵衛」と呼ばれるほどの人物。
その平兵衛があるとき船に乗っていると、橋の上から身投げした男が船の近くに落ちてきた。
船頭が川に飛び込んでどうにか助けると、ボロボロの着物を着てやせこけた男が8歳ぐらいの男の子を抱いている。
目を覚ました男は平兵衛にひれ伏してお礼を言うのだが、平兵衛は「身投げをするというのはよっぽどの訳があるのでしょう、私が助けてあげられるかもしれないからお話しください」と言う。
 
男は徳蔵と名乗り、天城で炭屋を営み妻と二人の男の子に恵まれ貧しいながらも幸せに暮らしていた、と語りだす。
しかしあるとき妻が眼病を患い、高い薬を求めたりして手を尽くしたがどうにも治らない。そのうち金も尽きどうにも立ちいかなくなって、自分は下の子どもと妻を残し、8歳になる清蔵を連れて江戸に出てきた。
しかし江戸に出てきてもいい仕事にはありつけずついには乞食になりもう4日も何も食べていない。
これは妻と子どもを棄てた報いだろう、この世ではもうどうにもならないからと絶望して清蔵を連れて身投げをした。
どうかもう一度身を投げさせてくれ、と言う。
 
それを聞いた平兵衛は、とにかく家に来て腹いっぱい食べなさい。食べてから生きるか死ぬかを考えなさい、そう言って二人を連れて帰る。
ごちそうをしてもてなして、徳蔵を奉公人として西海屋に置いてやり、息子の清蔵は自分の一人息子である宗太郎(6歳)と一緒に手習いに行かせる。
宗太郎の方は出来が悪いのだが、清蔵は非常に利発な子どもで1を聞いて10を知るタイプ。
平兵衛は清蔵をわが子のようにかわいがり、知らない人は二人とも平兵衛の実の子どもと思うほどだった。
 
それから月日が流れ、病に倒れた平兵衛。
枕元に製造と宗太郎の二人を呼び、清蔵に「お前に頼みたいことがある」と言う。
「宗太郎が不出来であることは百も承知だがそれでもたった一人のわが子。店は宗太郎に継がせたい。しかしあいつ一人では何もできないから、清蔵がそばにいてあれの相談にのってくれないか。お前が見ていてくれたら安心だ」
そういわれた清蔵は「私が今日こうしてあるのは全て旦那様のおかげ。もちろん私はずっと宗太郎様のそばで命をかけて宗太郎様とお店をお守りいたします」と約束。
平兵衛はほっとしたのか亡くなってしまう。
それからしばらくして宗太郎はお貞という妻を娶り松太郎という息子も生まれる。
 
ある日、知り合いに品川に連れていかれた宗太郎。飲めない酒を無理やり飲まされボーっとしていると、舞扇のお静という売れっ子の花魁に「これはいい金づるになる」と見込まれてしまう。
介抱すると言ってお静の部屋に連れて行かれた宗太郎は、お静の手練手管に魂を抜かれたようになってしまう。
その日以来品川通いをするようになった宗太郎。店の金を湯水のように使い、近所でも評判になり、店の者たちにも軽蔑されるのだが、一向にやめる気配がない。
妻のお貞は心労のあまり乳が出なくなり松太郎を直十のもとへ預けてしまう。
見かねた清蔵が宗太郎に意見をするのだがまるで聞く耳を持たない宗太郎。
朝から品川へ行ってしまう。
はたして店はどうなってしまうのか…。
 
というところまで。
今回はちょっと今までと雰囲気が変わって落語っぽいところもあります、という最初の言葉通り、品川に行ってフラれた男たちがもてたいもてたいと騒いだり、変な芸を披露したり…とちょっと笑える場面も。
平兵衛はいい人だし、清蔵もちゃんとしているし、一瞬平和な感じだったのに、悪女が出てきて不幸へ転がり始める、るるる~。
そして宗太郎が明け方になって帰ってきたとき、生意気な小僧の口から「よしどんは寝ないで待ってました」という言葉が。そのよしどんとはもしや義松なのでは…。そして宗太郎をそそのかして店をめちゃくちゃにしてしまうのでは、という予感。
 
今回はツッコミどころがそんなになかったけど、きっとまた破たんしていくんだわ、噺が…。
 
さん助師匠「花見の仇討」
楽しかった!
耳の遠いおじさんがすごい大きな声で聴き間違いをするだけでおかしい。
大きな声を出すだけで面白いって最強な気がする。
 
あと立ち回りのシーンのぐだぐだぶりがすごいおかしい。いかにもお仕着せっぽいっていうか、運動神経悪そうっていうか(笑)。

 

次回「さん助ドッポ」5/29(月) 両国亭 18時半開場 19時開演
・おせつ徳三郎
・初代談州楼燕枝の述「西海屋騒動」第八回「舞扇のお静(前編)」

 
その後は、6/28、7/31、8/28