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りつこの読書と落語メモ

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これからお祈りにいきます

 

これからお祈りにいきます (角川文庫)
 

 ★★★★★

高校生シゲルの町には、自分の体の「取られたくない」部分を工作して、神様に捧げる奇妙な祭がある。父親は不倫中、弟は不登校、母親とも不仲の閉塞した日常のなか、彼が神様に託したものとは―(「サイガサマのウィッカーマン」)。大切な誰かのために心を込めて祈ることは、こんなにも愛おしい。芥川賞作家が紡ぐ、不器用な私たちのための物語。地球の裏側に思いを馳せる「バイアブランカの地層と少女」を併録。  

 「これからお祈りにいきます」というタイトルに感じる違和感のようなもの。
一話目「サイガサマのウィッカーマン」を読んで、え?なに?それ?と嫌悪ギリギリの感情を抱き、それはおそらく私の宗教アレルギーによるものなんだけど、でも最後まで読むとなんかこう身につまされるというか、人が人を想う気持ちというのはつまるところは祈りに通じるのかもしれないと静かな感動を覚える。

二話目「バイアブランカの地層と少女」も、恋愛でも友だちでもない…たまたま知り合った地球の裏側に住む少女の恋人のことを心配して、ちょっといい感じになった女の子のことがそっちのけになってしまう主人公。
誰かのことを想って祈るという行為って人間の中にある善の部分なんだなぁ。
心配性の主人公がたまらなく好きだわ。

久しぶりに読んだ津村記久子さん。やっぱりなにかこう独自なものを持っていて好きな作家さんだなぁとの思いを新たにした。