りつこの読書と落語メモ

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夜のサーカス

 

夜のサーカス

夜のサーカス

 

 ★★★★★

夜だけ開く黒と白のテントのなか、待っているのは言葉を失ってしまうようなショウの数々。氷でできた庭、雲の迷路、優雅なアクロバット、ただようキャラメルとシナモンの甘いにおい…しかし、サーカスではひそかに熾烈な闘いがくりひろげられていた。若き魔術師シーリアとマルコ。幼いころから競い合いを運命づけられてきた二人は、相手に対抗するため次々とサーカスに手を加え、魅惑的な出し物を創りだしていく。しかし、二人は、このゲームの過酷さをまだ知らなかった―魔法のサーカスは世界中を旅する。風変わりなオーナー、とらえどころのない軽業師、謎めいた占い師、そしてサーカスで生まれた赤毛の双子…様々な人々の運命を巻き込んで、ゲームは進む。世界で絶賛された幻惑とたくらみに満ちたデビュー作。  

 サーカスの物語ってもうそれだけで2割増しぐらい評価が上がってしまう。さらにそれに魔法の要素が散りばめられるとほんとに弱い。

モヤモヤしたところが多く、最後まで読んでも腑に落ちない部分もあるし、小説として焦点が定まりきれてない感じもするけれど、でもそれはそれでいいと思う。

魔法をマジックのように見せる美しい奇術師、彼女の対戦相手である青年との運命の出会い、サーカスの幕開けの日に産まれた双子、そしてサーカスに魅了される人たち…と登場人物が魅力的で生き生きしている。

そして魔法の力で成り立っている夜のサーカスの描写がとにかく色覚的に素晴らしい。作者が舞台美術を勉強してきたことによるものなのかもしれない。

もうこの世界に浸ってるだけで幸せだった。余韻を残すラストも素敵。素晴らしかった。