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りつこの読書と落語メモ

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私たちが姉妹だったころ

 

私たちが姉妹だったころ

私たちが姉妹だったころ

 

 ★★★★★

幼い日の自分のひと言が家族をばらばらにしたのか。この記憶はどこまで本物なのか。心理学者の一家が直面する、愛と崩壊と再生の物語。

「あたしファーンがこわいの」幼い日の自分のひと言が、家族をばらばらにしたのだろうか――。
ローズマリーはカリフォルニア大学で学ぶ22歳。無口で他人とうまく付き合うことができない。かつては心理学者の父と主婦の母、兄と、双子にあたる姉ファーンのいる、おしゃべりな子だった。だが5歳の時に突然祖父母の家へ預けられ、帰ってみると姉の姿が消えていた。母親は部屋へ閉じこもり、父は酒に溺れる。大好きだった兄も問題児になり、高校生の時に失踪してしまう。ローズマリーがこの大学を選んだのは兄の手がかりを捜すためだった。
アメリカでは1930年代から60年代にかけて、動物を一般家庭に持ち込んだある衝撃的な研究が現実に行なわれ、一家もその被験者だった。この作品は特殊な状況を背景として、家族を失った一家が、家族愛とは何なのかを問い、絆を取り戻そうとする姿を描く。動物と人間、人間の記憶の不可思議さ、きょうだいの愛憎、親子関係の難しさ、友人関係の悩みやいじめ問題など、さまざまなテーマが、幾重にも伏線を張りめぐらして精緻に織り込まれた、愛の物語である。 

 なんの前知識もなく読み始めたのだが、これはほんとにそういう真っ白な状態で読むべき本。
内容的には驚きの連続なのだけどそれが決して奇をてらっていないというか腑に落ちるところがあって、不思議と静かな印象を残している。

結局のところこれは家族の物語で一人の女性の成長の物語と私には思えた。だからこそ、この突飛と思える状況であっても主人公ローズマリーの気持ちはよく理解できたし寄り添うこともできた。

「真ん中から話してみよう」という言葉が何度か出てくるのだが、この小説はまさにその「真ん中から話す」構成になっていて、それがとても効いていて、この物語に静と動を与えているように感じた。

とてもよかった。読んでよかった。久々のクリーンヒット。