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りつこの読書と落語メモ

はてなダイアリーからブログに移行しました。

赤坂倶楽部 第二回小はぜの一本釣り

4/11(火)、赤坂会館で行われた「赤坂倶楽部 第二回小はぜの一本釣り」に行ってきた。

・小はぜ「一目上がり」
・小はぜ「猫の皿」
~仲入り~
・小はぜ「野ざらし」
 
小はぜさん「一目上がり」
出てくるなり「こんな足元の悪い中お運びいただいて…そして今日もやっぱり雨でしたね」と 小はぜさん。
前回、自分は雨男で「ここぞ」という時はいつも雨、と言っていた小はぜさん。
確かにこのところ雨なんてずーーっと降ってなかったのにこの日は朝から雨で寒くて「あー確かに小はぜさんの言ってた通りだー」と思いながら来たのだった。
「でも物は考えようですから。例えば新しくレインコートを買って、この日におろすとかすると…こんな雨の日もそれほど憂鬱にはならないかもしれません」。

また、今、小八師匠の真打披露目の番頭をやっている小はぜさん。
本当は番頭というのは年季が真ん中ぐらいの人がやるもので、というのはそれぐらいのキャリアがあれば打ち上げはどこのお店がいいとか、楽屋に用意するお菓子も師匠方の好き嫌いを把握していたりして、何かと経験値がある。
でも自分はほんとに二ツ目になったばかり。そういう人間はふつうは番頭には指名されない。
とはいえ一門で上のニツ目というとこみちさんで、もう秋に真打になることが決まっているしお子さんも二人いらっしゃる。
なので自分と小かじさんの二人で番頭をやっていて、足りない分は二人で補い合ってやっている、と。

やはり真打のお披露目っていうのは二ツ目に上がるときとは全然違っていて、自分は番頭をやりながら「ああ、真打っていいなぁー」「後ろ幕は二つほしいなぁ」なんて、もうお客さんの目線で見てわくわくしている。
特にうちの師匠は喜多八師匠とは入門した時期もほとんど一緒で本当に仲がよくて、だから喜多八師匠には会に呼んでいただいたりととてもよくしていただいた。
小八兄さんは一番お世話になっている兄さんなので、その兄さんが真打昇進なのかーとなんか感慨深くもあります。

…研精会の「提灯屋」の時のまくらで、紋について小はぜさんが語っていたときにも感じたけれど、かわいいなぁ、ほんとに。
もうなんていうか感じ方が素直っていうか素朴っていうか、かわいいとしか言いようがないよ!
こういうかわいらしさっていうのは年齢とかじゃないし、取り繕っても出てくるものじゃないんだよね。
このかわいさが損なわれずにいてほしい…と思ってしまう私は完全にハハな気持ち、なのかもしれない。

「一目上がり」はご隠居と八つぁん(?)の会話で始まる噺だけど、前座時代「道灌」をずっとやり続けていただけのことはあって、小はぜさんのご隠居と八つぁんはとても仲がいい。このふたりの会話が心地いいともうずーーっとこの世界に浸っていたくなる。
あとからほんとはこの噺は第一回目の会にしたかったと言っていた小はぜさん。そういう噺への愛着が伝わってくる「一目あがり」だった。よかった。


小はぜさん「猫の皿」
実は自分が初めて聞いた落語がこの「猫の皿」で一番好きな噺もこれ、と言う小はぜさん。
私もこの噺、大好き。「仕事」に対した時のこう…ちょっとずるく振る舞うところと、それを受け流す力の抜け方とか、山の茶店に入ってほっとした時の風とか山の景色とか…そういうのが感じられて、でも基本的にはすごくばかばかしくて…落語の魅力がたっぷりつまっている。でもそれだけに難しい噺なんだろうなとも思う。

小はぜさんの「猫の皿」、茶店で足を休めてほっとした道具屋さんがあれやこれやと語るのがとてもいいんだけど、ちょっと冗長に思えてしまうのは、おそらくまだこの噺を練り切れていないからなのだろうな。
でも何も言いたいことややりたいことがなくてそれなりに器用に上手にこなすより、こんなふうにやりたいことや伝えたいことがたくさんあってでも技術が追い付いてないっていうほうが、見どころがあるっていうかこれから先がとっても楽しみに思えるからいいよね。ってなんなんだあたしは。なにさまかよ。でもそういう楽しみ方もできるからながく楽しめるんだよな、落語て。
大好きな「猫の皿」を小はぜさんがこれからどんなふうに進化させていくのか、とても楽しみ。

小はぜさん「野ざらし」
さきほどの「猫の皿」は小満ん師匠に教わりました、と小はぜさん。実ははん治師匠に「お前、二ツ目になってどんな噺をやりたいんだ?」と聞かれて答えて「生意気だな」と言われたのがこの噺でして…。それでも一番好きな噺なので大好きな小満ん師匠に教わりに行ったんです。
その時に小満ん師匠から言われた言葉。すごく素敵でもうそれを聞かせてもらえるだけで行った甲斐があったなぁって思う。
私はただのファンでたんなるミーハーなんだけど、でも小満ん師匠の素敵なところとか、それを私の好きな師匠や二ツ目さんたちが憧れて教わって力にしているところを見てその素敵さを感じられるっていうの…すごく幸せだなぁって思う。だからこうやって夢中になって見ているんだと思う。

そんなまくらから教わったばかりだという「野ざらし」を。

これがもうほんとにびっくりするくらい素晴らしくて。
私は小三治ファンなので「野ざらし」といえば小三治師匠で、他の誰のを見ても全然満足できないんだけど、小はぜさんのこの日の「野ざらし」はそれに引けを取らないほどの…本当に楽しくて素敵な「野ざらし」だった。
なんていうのか、先生を訪ねてきた女の幽霊を本気でうらやましがる八つぁんの陽気さがぐわーーっとにじみでていて、もう見ていて楽しくて楽しくて。
自分は陰気だと言う小はぜさんにこんな陽気さがあったのかというような…ほんとに楽しい「野ざらし」だった。なのに本人に全然「どうや」「やってやったぜ」感がないところがいいなぁ。