りつこの読書と落語メモ

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その姿の消し方

 

その姿の消し方

その姿の消し方

 

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フランス留学時代、古物市で手に入れた、1938年の消印のある古い絵はがき。廃屋と朽ちた四輪馬車の写真の裏には、謎めいた十行の詩が書かれていた。やがて、この会計検査官にして「詩人」の絵はがきが、一枚、また一枚と、「私」の手元に舞い込んでくる…。戦乱の20世紀前半を生きた「詩人」と現在を生きる「私」。二人を結ぶ遠い町の人々。読むことの創造性を証す待望の長篇。

初めて読んだ堀江作品。
期せずしてtwitter文学賞の国内1位と2位を続けて読んだけど、これらが選ばれるって渋いなぁ。

こってりしたフィクションではなくてゆらゆらと思索を漂うような小説だった。

偶然見つけた絵はがきに書かれた詩の意味を長い年月をかけて読み解いていきながら、その家族や友人との交流を通して作者の内面に思いを馳せ、その時代の空気を感じる。

その詩は主人公の人生にいつも寄り添っていて、ふとしたときに「こういうことだったのかも」と理解できる。
文学ってこういう風にして人生を豊かにしてくれるんだとしみじみ思う。

とてもよかった。