りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ぎやまん寄席 馬治・さん助ふたり会

3/6(月)、湯島天神 参集殿で行われた「ぎやまん寄席 馬治・さん助ふたり会」に行ってきた。
 
・たま平「一目上がり」
・馬治「片棒」
・さん助「不動坊」
~仲入り~
・さん助「ぞろぞろ」
・馬治「抜け雀」
 
たま平さん「一目上がり」
初めて見た時は「うまい」と思ったけど、見るたびに苦手になっていくなぁ…。笑わせよう笑わせようとしてくどいから、聞いていてじりじりしてくる。
そして兄貴分が途中からご隠居口調になっちゃってた。うけようとするあまり散漫になっているような…。
 
馬治師匠「片棒」
40になって初めて経験することってあるんですね、と馬治師匠。
今年になって初めて花粉症になった。自分の場合は鼻水やくしゃみより咳。あと鹿芝居に出ていてお化粧をしたら肌がかぶれて大変。医者に見せたらこれも花粉症の症状らしい。
薬を飲んでいるから頭もぼーっとしていて、この間落語会で「井戸の茶碗」をやったんだけど、最初に仏像からお金が出てくるところ、本来は五十両なのに五百両と言ってしまった。
そうすると井戸の茶碗はもっと高くしないといけなくなっちゃって仕方なく一千両にして、ほんとは懐から小判を出すところを、つづらをえっほえっほと肩に担いで持っていくはめに。
 
…ぶわははは。それはそれで面白いなぁ。
馬治師匠って古典に時々独自なクスグリを入れるから、わざとやったのかと思いそうだな。
 
それから駐車場で隣の車のバンパーをこすってしまった。
初めての事故だったのでこれはへこみました。
結局示談にできたんですが、問題はこの車、私のものじゃなくて…金原亭馬生さんっていう方の車だったんですね…。
 
…いやぁ、もう面白すぎるよ、馬治師匠!
とほほって感じで言うんだけど、それがこうほどよくとぼけているからすごく楽しい。好きだなぁ、この師匠。なんたって顔がすごく好み(←そこ?!)。なのにちょっと残念な感じがただよっていてそこがとっても噺家さんらしくて、たまらなく好き。
 
そんなまくらから「片棒」。
3兄弟がそれぞれキャラが立っていて面白い。
長男が弔いと聞いて「しめしめ」みたいなちょっと悪い顔。
次男はいかにもはすっぱな感じで入って来て、三男は陰気っぽい。
ふつうこの噺って次男のところが一番面白いけど、馬治師匠のは三男がほんとにおやじの弔いになんかお金使いたくない!っていうのが出ていて、それがすごくおかしかった。
次男のところがもっとばかばかしくはっちゃけたら、もっと陽気になって楽しいと思う。
 
さん助師匠「不動坊」
大家さんに呼ばれた吉さんがお滝さんとの結婚を言われるところから。
お滝さんは俺の女房ですからと口をとんがらせるのがおかしいけど、大家さんが「吉さんはまじめでおとなしくて」と言ってるだけのことはあって、そんなにエキセントリックな人物じゃないところが好印象(笑)。
お湯に行こうとして手拭いと間違えて鉄瓶を持って出かけそうになって、いけねぇいけねぇと戻って来て今度は越中ふんどし。今度こそと手拭いを持って玄関を出ようとして扉を閉めてしまい頭をぶつける。ぶわははは。
 
そのあと、風呂で他の3人の悪口を言ってのろけるところはフツウなんだけど、帰ろうとする吉さんに徳さんが声をかけて「どういうことだ」というのは初めて聞いた。
 
徳さんのところに集まって不動坊の幽霊を出そうと相談して、幽霊役に噺家頼むんだけど、これが前座じゃなくて引退したギスケじいさん。ギスケじいさん、登場する時に、げほっげほっと激しく咳き込んで、もう最初からだめな感じが漂っていておかしい。
アルコールとたいこを万さんに頼んだあと、このギスケじいさんが「私のセリフは?」と聞くと、徳さんが教えるんだけど、これをギスケじいさんが何度も「え?」と聞き返すのがおかしい。
そのやり取りを何度かやった後ギスケじいさんがやって見せるんだけど、これが芝居調でなかなかの迫力。
 
屋根に上がるのもぜいぜい言いながらで今にも死にそうなギスケじいさん。
徳さんと万さんと喧嘩をしてると「おい。ギスケじいさんが寝ちゃったよ」。
そしていよいよ幽霊で出るんだけど、これが先ほどの練習と打って変わって棒読み。
「おい。本番の方が下手じゃねぇか!」には大笑い。
 
吉さんに祝儀をもらうと寝返るギスケじいさんをひもで引っ張ると、ぶるん!と幽霊の形になるんだけど、このぶらさがる形がやたらとおかしい。この形だけでこんなに笑えるって…ずるいよ!
ひっくりかえるほど面白かった~。
 
さん助師匠「ぞろぞろ」
前半がたっぷりだったので、あっさりと。
「ご利益ですよ」というおばあさんがちょっと怪しげなのがさん助師匠らしい。
あと、床屋の親方っておじいさんだったの?!
サゲがちょっと気持ち悪いのもさん助師匠らしい。(ほめてます?
 
馬治師匠「抜け雀」
お人よしで一文無しばかり泊めてしまう宿屋の主人が馬治師匠と重なって見えて、とってもほほえましい。
硯を持ってこいと言われて「もういやになっちゃうなぁ。」とぶつぶつ言いながらも、はいはいと言うことをきいてしまう人の好さが心地いい。
雀が抜け出して驚いて女房のところに駆けつけるも、説明がわやわやしていて聞いてもらえないのがおかしい。
評判になって宿屋がどんどん大きくなって、本館、別館、アネックスとできるっていうのに大笑い。
 
老人が止まり木を描いてやるというと、墨を擦って「いい匂いですね。鼻だけはほめられます」と言うのもおかしいし、絵を描くと言われて角度を調整して「慣れておるな」と言われるのも楽しい。
なんか馬治師匠ってこういう人情噺がとっても合ってる気がする。じっくり聴かせるけど、くどくなくておかしみもあって…いいな。
 
いやー楽しかった。
この二人会、いいなぁ。すごくいい組み合わせ。
そして入り口に立てかけてある「馬治・さん助の会」というのが「馬治さんを助ける会」に見えるところがまた楽しい(笑)。