りつこの読書と落語メモ

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赤坂倶楽部 小はぜの一本釣り

2/14(火)、赤坂会館で行われた「赤坂倶楽部 小はぜの一本釣り」に行ってきた。

市若「道灌」
小はぜ「日和違い」
小はぜ「真田小僧
~仲入り~
小はぜ「たらちね」


市若さん「道灌」
ちょっと不思議な「道灌」。
隠居もはっつぁんもにこにこしていてお互いにすごく優しい。
そして時々半テンポぐらい遅れて返事をする。それが妙におかしい。
なんか自分なりの色を出してきたのかな。
それはそれで面白いけど、自分でもその半テンポ遅れて返事をすると明らかにリズムを崩していて、大丈夫か?とちょっと心配に。


小はぜさん「日和違い」
こんなお寒い中わざわざお運びいただいてありがとうございます、と小はぜさん。
今日はバレンタインですけど、みなさんバレンタインはお済でしょうか、僕はまだ終わってません、に大笑い。

昔、楽屋入りするとき、師匠のおかみさんから「お前なんか入ったら大変だよ、バレンタインは。チョコの山で」と言われて、自分でも「そうなのかなー。もらえるのかなー」なんて思っていたけど、前座時代もらったことなんかないです。

…わははは。
確かに楽屋にわざわざチョコを持っていく人というのはそんなにはいないのかも?ましてや前座さんには渡しづらいよなー。
バレンタインの日にあった落語会が小さな会でお見送りしてもらったり打ち上げがあったりしたら用意して行って渡したりすることもあると思うんだけど、寄席や大きなホールの会だと難しいよなぁ。
私も前座時代から小はぜさんのことは大好きだったけど、チョコを渡そうと考えたことはなかったもんな。なんかむしろ迷惑になりそうで。
でもなんかそんなことを言う小はぜさんがかわいい。

今日は雨は降ってないですけど、私は自分でもわかってるんですけどすごい雨男です。
人生の節目とか何か大切な出来事があるときは決まって雨です。小さい頃からそうなんです。
師匠のお宅に親と伺った時も、小三治師匠のところに師匠と一緒に入門をお願いしに行った時も、ニツ目の披露目の初日は全部の寄席で雨でした。
初日は着物やお席亭やスタッフの方に配る菓子折りなど大荷物でそれに傘をさして持っていくのはすごく大変でした。

…ネガティヴなことを言っているのになんか全然嫌な感じがなくて思わず吹き出してしまう。
そう言いながらもなんかふわっと肩の力が抜けてるっていうか恨みがましい感じが一切ないからかな。

それから今度は易者の小噺。聞いたことがない小噺で思わず「なになに?」と引き込まれる。そしてこの小噺からどんな噺にいくのかまるで分らなくてわくわく!
難易度の高い小噺をしたあとに「これは…やらないほうがよかったですね」にも笑った。

そんなまくらからお天気を気にする男が友だちの家に「今日はこれから雨が降るかな」と聞きに行くところから。
あーこれなんだっけ。なんか夢丸師匠で聴いたことがあったような…。おお「日和違い」。小はぜさんたらまた渋い!そして最初の雨男の話も「日和違い」につながっていたんだ!

荷物を持って行かないといけないんだけど怪しい空模様。折り畳み傘を持ってないから降らないなら持っていきたくないけど、どう思う?
聞かれた男がわからないと答えると、だったらどういう人がわかるかな。
漁師なら天気次第で海に出たり出なかったりするから詳しいんじゃないかとか、いろいろ出るんだけど、だったら町内の易者のところで聞いてみれば、と。

易者のところに聞きに行くと「雨は降らない。天気じゃない。」という見立て。
それを信用して傘を持たずに出かけていくと大雨に降られて、米屋の前で雨宿りをしていると米屋の主が出てきて…。

後で小はぜさんが、今ではこれは寄席ではめったにかからない噺で、なんでかっていうと面白くないからだ、と。
でも二ツ目のお披露目の時からやっていて、そうすると師匠方がネタ帳を見て「お!珍しいのやってるね、あんちゃん。」と話しかけてくる。
「昔は寄席でもよくかかってたんだけどね。」とか「俺もニツ目の頃はやってたけどいつの間にかやらなくなっちゃった」とか「なんでこんなつまらない噺やるの?」とか話しかけてもらえて、こういうちょっと変わった噺をやって「ゲテモノ小はぜ」なんて言われるようになったらいいなと思って、と。

…すてき!
小満ん師匠とか蝠丸師匠とか小助六師匠とかさん助師匠とか夢丸師匠とか、人がやらない珍しい噺を持ってる噺家さんが大好き。
やられなくなったのにはやられなくなった理由があるんですって珍品の会の時に蝠丸師匠がおっしゃってたけど、でも楽しいよねぇ。寄席に行ってそういう噺に当たると「今日は来てよかった」って思えるし、しかもそれが珍しいだけじゃなく独自の味わいが出てきたらそれこそほんとに宝物。
ああ、やっぱり小はぜさんってそういう志があるんだなぁ。
前座時代はそんなことはまったく見ていてわからないので、こうして二ツ目になってそういうことが分かってすごく嬉しくなったのだった。


小はぜさん「真田小僧
小児は白き糸のごとしのまくらで始まった「真田小僧」。
おおお、小はぜさんが「真田小僧」ってちょっと意外。
でも一席目とがらりと雰囲気が変わるし、みんなが知ってる噺というのもナイスチョイス。

小はぜさんの金坊は憎らしいことを言うけどなんかけろっとしていてかわいい。いやらしさがなくて、頭がくるくる回転してるって感じ。
うまいこと話をつないでお金をもって逃げちゃっても、憎々しさがない。
「あいつは悪知恵が働くから末はろくなもんにならねぇ」っていう父親と「あの子は頭がいいから将来が楽しみだよ」っていう母親。

きっと小はぜさんは通しでやるんじゃないかなと思っていたらやっぱりそうだった。
もうーそういうところがたまらなくいいわー。やっぱり通しでやるよね「真田小僧」!
と勝手に喜ぶ私であった。


小はぜさん「たらちね」
着物を着換えて登場の小はぜさん。「持ってるぞというところをみていただこうと思って」というのに笑う。
黒門付きなどは仕立てたのだけれど、今着ている着物は古着を買いました。
近所に古道具屋があることがわかって行ってみたんだけど、女性物は需要があるけど男性物は需要がないということで数が少ない。
でもその店には男物が置いてあって着てみるとこれが自分の体型にぴったり。
小はぜさん、細身だけど腕が長くて普段は合う着物がなかなかない。仕立てるときも「こういう体型だと難しい」と言われたほど。
それがぴったりだったので気に入って購入。

その次に行ってみるとまた自分の体型にあった着物が。
そのうち「いいのが入ってますよ」と電話が来るように。
こうなるとどういう人が売ってるんだろう時になって聞いてみるとどうやら着物会社?の人が売ってるらしい。

それを聞いてちょっと黒い考えがむくむくと。
この道具屋を介さずに直接その売ってる人のところに行けばもっと安く手に入ったり?
いやもしかするとただでくれるかも?
あるいはそこに娘がいて縁談になったり?

いろんな妄想を語る小はぜさんがおかしい。
そしてそんなまくらから「たらちね」。

おお、前座時代からやっていた「たらちね」だね!
前半がたっぷりだったから多分時間が厳しくなったね。
なんて思いながら聞いていたんだけど、前座時代の「たらちね」とは違うんだな。前座の時はあえて色はつけずにやっていた感があったけど、なんか色があるっていうかおかしさがじわじわとあって。
そして最近は次の朝おつけの実にネギを買うところまでやる人が多くなってきてるけど、小はぜさんはさらにそのおつけを夫婦で食べるところまで。
「たらちね」の通しだ!

3席たっぷりでまくらも新鮮で楽しかったー。
次回は4/11(火)とのこと。また絶対行こう。