りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

立川左談次のひとりでやる会vol.12

2/9(木)、日暮里サニーホールで行われた「立川左談次のひとりでやる会vol.12」に行ってきた。
行きたい行きたいと思いながら他の会と重なったりでなかなか行けなかったこの会。
この間浅草演芸ホールの帰りに友だちの行きつけのお店に行った時意気投合した女性がいて、酔った勢いもあって左談次師匠の素敵さを二人で熱く語り「じゃ私も行こうかな」ということになり会場で再会。わーいわーい。
そのせいなのか(んなわけない)、この日は何日か前に売り切れになっていた。


・左談次 御挨拶
・志ら門「子ほめ」
・談吉「天災」
・左談次「ガン病棟の人々」
~仲入り~
・左談次「厩火事

 

左談次師匠 御挨拶普段着姿の左談次師匠が出てきて御挨拶。普段はこういうことはあまりしないんですがと言いながら、弟子の左平次師匠が欠席されることと、今日の会の構成など。

ありのままでかっこつけなくてももう何から何まで素敵なんだ。


志ら門さん「子ほめ」
あらハンサム。
時々落語の中のくまさんの反応がおもしろい。


談吉さん「天災」
この日、兄弟子の左平次師匠が風邪で欠席。「まさかと思いました。だって…師匠は癌で出てるんですよ」には大笑い。

ザ・クロマニヨンズが大好きなんだけど、それは自分の中ではメインサイドではなくダークサイド。
普段の自分からするとライブで前の方に行くっていうのはないんだけど、せっかく好きなんだしまだ若いんだしと思い、この間のライブでは前方へ行ってみた。
そうしたら…みなさんの前ですけどあれですね…。前の方っていうのは違うんですね。もう純粋に音楽を楽しむというんじゃなくて…祭りですかね、祭り。もうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう押し合って、こう…始まる前にすでにこれはだめだと思いまして後ろへ下がりだしたんですけど下がりきれず…音楽を楽しみたくても腕も挙げられないから胸の前でこう…自分を守るようにして…。
ああ、自分の大好きな人たちがこんなに近くにいるのに、絶対友だちになれない人たちにこんな風に囲まれてって思いまして。
これからはもう後ろの方で見ることにしようと思いました。
そんなまくらから「天災」。

いやもうこれがすごい破壊力。すっごく面白い。
表情も強烈だけど、なんだろろ、時々独自な崩し方をするんだけどそれが結構冷静で、そこが左談次師匠っぽくもあって、とってもチャーミング。
私、この噺大好きなんだけど、若い人でこれをこんな風に面白くできるってすごいんじゃないだろうか。
ああ、今年はもっと談吉さんにも行きたい。

左談次師匠「癌病棟のひとたち」
これで入退院も4回目で、自分でもだいたい予測がつくようになってきた。
抗がん剤治療っていうのは副作用が酷いんだけど、それもだいたいペースがつかめるようになってきたので、退院して何日ぐらいたてばまあまあ元気になってるなっていうのがわかる。それでそのタイミングでこうやって会をしたりしている。

入院していると面白いことがたくさんあって。
噺家が結構お見舞に来てくれるんだけど、やっぱりおかしいね噺家っていうのは。普通じゃないんだよ。どう見ても。別に着物着てくるわけじゃなくて、普通の格好してるんだよ。ずぼんはいて上着着て。なのに普通じゃない。
まず笑いながら入ってくる。こんなふうに。と言って腰を屈めてひょいっとにこにこ顔をのぞかせるのがたまらない。
志の輔が来てくれたんだけどね。やっぱり売れてるやつは違うね。足音をさせずに来るんだよね。気配を消して。
それからキウィが来てくれたけど。俺は食道癌なんだよ。わかりそうなもんじゃない。食べ物はだめなんだな、って。それがよりにもよって固い食べ物を見舞いに持ってきた。
あと談吉ね。弟子だから俺のことわかってくれてるよね。「師匠、なんか本を持って行きましょうか」ときた。わかってるね。「外国のミステリーとかどうですか」って言うから、軽く読めてそれはいいな、と思ってたらね。
ジェフリーアーチャー持ってきた。ジェフリーアーチャーかよ。微妙だなぁ。失敗作もないけどものすごく面白くもないっていう…打率で言ったら2割ちょいのバッター。
しかも持ってきた本が下巻!なんで下巻からなんだよ。俺は上巻から読みたいよ!

それから同室の人たちのことやなんかをつらつらと。
あとこれからみなさんが癌になったひとを見舞いに行くことがあるかもしれないけど、参考になれば…。見舞いに来て言っちゃいけない台詞。「思ったより元気そうじゃない」。これはだめ。元気じゃないから入院してんだよ!

すべてを笑いにしてしまう強さとしなやかさ。なんて言ったら師匠におえーーってかゆいかゆいポーズをされそうだけど、ほんとに面白くってかっこよかった。

左談次師匠「厩火事
40年前に一度やったっきりでその時まったくうけなかったことの傷が癒えなくてやってなかったという左談次師匠。
ほぼネタおろしに近くて体力的にもちょっときつそうで「いい客だったら、もう無理しなくてもいいよと言ってくれる」と愚痴りながら…。

大家さんが「あたしはあいつが嫌いだ」とはっきり言うのも、おさきさんが微妙な女心をのぞかせるのも、そして亭主が遊び人ぽくもあり優しさもありそうなのも、左談次師匠にぴったりでとっても素敵。
「もう一生やらない」とおっしゃってたけど、すごく合ってると思うなぁ。
終わってから「あぶないところが二か所あった」とおっしゃってたけど、そんなこと全然問題にならない、とってもチャーミングな「厩火事」だった。