りつこの読書と落語メモ

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堆塵館 (アイアマンガー三部作1)

 

堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)

堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)

 

 ★★★★★

19世紀後半、ロンドンの外れの巨大なごみ捨て場。幾重にも重なる屑山の中心に「堆塵館」という巨大な屋敷があり、ごみから財を築いたアイアマンガー一族が住んでいた。一族の者は、生まれると必ず「誕生の品」を与えられ、一生涯肌身離さず持っていなければならない。15歳のクロッドは、聞こえるはずのない物の声を聞くことができる変わった少年だった。ある夜彼は屋敷の外から来た召使いの少女と出会う。それが一族の運命を大きく変えることに…。『望楼館追想』から13年、作者が満を持して贈る超大作。 

ロンドンの外れの巨大なゴミ捨て場の中心にある「堆塵館」という巨大な屋敷。
そこにはアイアマンガー一族が住んでいて巨大な富を築いていた。
アイアマンガー一族は生まれた時に必ず「誕生の品」を与えられ、それを肌身離さず身に着けなければならない。
15歳の少年クロッドは「物」の声が聞こえてしまうという特別な才能があった。そのため叔父が失くした誕生の品を見つけてあげたこともあるのだが、その才能を疑われて一族の者から疎まれ、彼自身もタミスという従弟以外には友だちもなく、いじめっこのモーアカスにひどい目に遭わされることを逃れるだけの日々を送っている。

一方街に暮らす貧しい人々の中で、突然「物」に変わってしまうという病気が流行り、ホテルで働く両親とともに幸せに暮らしていたルーシーも、ある日両親がこの奇病にかかり孤児になってしまう。
孤児たちは一生ゴミの山で暮らさなければならずそこから逃げる術はない。途方に暮れているとある日堆塵館から使いの者がやってきて、ルーシーはアイアマンガーの血が入っているため、召使として堆塵館で働くことができるという。
憧れの堆塵館に入ることができると聞いて喜ぶルーシーだったのだが、足を踏み入れたその屋敷はとても強烈な場所だった。
名前を奪われヘンテコな食べ物で無力化されそうになりながらも、持ち前の好奇心で屋敷をうろうろしていて、彼女が出会ったのがクロッド。
アイアマンガー一族と召使が接触することは許されないのだが二人は仲良くなり、それがこの一族の運命を変えることになる…。


読む前からきっと面白いに違いないと思っていたけれど、読んでみると想像を超える面白さ!
「誕生の品」がないと生命の危機を迎えてしまうアイアマンガー一族と、結集することで彼らに対抗しようとする元人間という図式は、「物」にこだわるケアリーの真骨頂ともいえる。
それよりもなによりも一族の中で特別な才能を持ちながらもとても「人間的」なクロッドと、反骨心に富んだルーシーの魅力的なこと。
読んでいて、このわくわくはなんだろう、何かと雰囲気がにている…と思っていたんだけど、解説を読んで「そうだ!」と思った。ディケンズの物語みたいなんだ!「オリバーツイスト」を初めて読んだ時のわくわく感。

ケアリーの作り出した奇妙な世界に入り込み、そのヘンテコなルールに飲み込まれる幸せ。
あーだから私はフィクションが好きなんだ!だってここには冒険が、ワクワクが、めくるめく世界があるんだもの。

「望楼館追想」も「アルヴァとイルヴァ」も大好きだったけど、この作品は少年少女に向けて書かれていることもあって、内省的ではなくて外に向かって開いている印象。

三部作ってことはまだここが1/3地点!二作目の出版が待ち遠しい。