りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第428回若手研精会

2/6(月)、第428回若手研精会に行ってきた。
夢吉さんが真打になってからすっかりご無沙汰だった若手研精会。この日は小はぜさんがトリをとるというので張りきって私にしたら早めに行ったのだが、会場はすでにかなり大勢の人が詰めかけていてびっくり。若手研精会ってすごく人気があるんだな。
 
・小多け「たらちね」
・正太郎「雛鍔
・志ん吉「 幇間腹
・わん丈「妾馬」
~仲入り~
・昇々「浮世床(夢)」
・小はぜ「提灯屋」
 
小多けさん「たらちね」
ちょっと陰気だけど素直な落語。すごく大きくていい声なので大きな会場に映える。
よく笑うお客さんでどんどんリズムが良くなっていく感じ。
 
志ん吉さん「幇間腹
一八がなよっとしているのが魅力的なんだけど、若旦那もなよっとしていて一八もなよっとしているから若干単調な感じかなぁ。
でも志ん吉さんの落語、好き。ぱきぱきしてて楽しい。
 
わん丈さん「妾馬」
お殿様は駕籠の中から「予はあの娘を好むぞ」と言っただけであとは家来がどうにかしてくれた。
噺家っていうのも殿さまと似たようなところがありますから。もし私が円丈と車に乗っていて円丈が「予はあの娘を好むぞ」と私に言って来たら弟子としたらあれですね…逆らえませんからね…”何言ってるんっすか、師匠!”って言って終わりですね」には笑った。
 
わん丈さんの「妾馬」は現代版「妾馬」っていう感じで、軽いところはいいんだけど、ちょっと泣かせるところになるとなんか芝居っぽくなっちゃうっていうか…花緑師匠っぽくなっちゃうんだな…。ちょっと私には無理だった。
 
昇々さん「浮世床(夢)」
新作の時は気にならないんだけど、古典だとあのサイボーグっぽい動きとヘンテコな口調が気になってしまう。
結構崩してたけど、むしろ思い切り崩した方がいいような気がする
 
小はぜさん「提灯屋」
初めてのトリをつとめる小はぜさん。見るからに緊張していてドキドキする~。
ニツ目になってこうして羽織を着られるようになりました、と小はぜさん。
何が嬉しいってお正月に紋付羽織を着て師匠のお宅に伺うことができたこと。
この紋というのも…私は小三治の紋を付けているんですが。これは師匠に相談して、師匠の紋になるのかなと思っていたら、小三治門だから小三治のつけてる紋にしなさい、と師匠から言われまして
自分で鏡を見た時にはっとするんですね。小三治と同じ紋だ!って
嬉しいようなプレッシャーなような重い十字架を背負ったような。
 
この紋というのも結構いろいろでして。
先代の小さんのお弟子さんたちはみな小さんの紋じゃなくて自分で変えてます。
師匠に聞いたら二ツ目の時は一門の紋にしたほうがいいけど真打になったら好きな紋にしていいよ、と。
だから紋辞典のようなものを買って「これがいいかな」「こっちもいいな」なんて…まだ付けるわけでもないのに見てるとうきうきします。
 
そんなまくらから「提灯屋」。
おおお、紋のまくらはこの「提灯屋」のためのものだったのか!
寄席でもめったにかからないし、私ももしかすると小三治師匠のCDでしか聴いたことがないかも。
トリで「提灯屋」って…小はぜさん渋いっ!
 
若い衆が集まってちんどん屋からもらったチラシを回し見。
字が読めるものが一人もいないので、これはどういう店ができたのか、うなぎ屋じゃないか蕎麦屋じゃないか洋食屋か。みんな好き勝手言っている。
いかにも読めそうなそぶりを見せながらも読めなかったり、聞かれもしないのに印刷についての蘊蓄を語ったり。
通りがかったご隠居にチラシを見せると、ご隠居も印刷についての蘊蓄を語りだすので「もしや隠居も字が読めないのでは」とざわつく若い衆がかわいい。
 
提灯屋に行って謎かけみたいな紋の説明をしては次々提灯をただでもらってきてしまう若い衆。
すっかり参ってしまった提灯屋が、儲けさせてやろうと行ったご隠居を「元締め」と決めてかかり、普通に注文した紋に悩みまくる様子がおかしい。
 
弾むようなリズムで聞いていて楽しい。あーやっぱり私は小はぜさんの素直な落語が好きだなぁ。
前座時代、一切まくらをふらなかった小はぜさん。落語も基本に忠実な、くすぐりなんかも入れない落語で、だけど全然「足りない」感じがなくて、噺だけで笑えてそこが好きだった。
そして小はぜさんってすごく端正できれいなんだけど素朴なあたたかみがあって、そこがじんわり落語ににじみ出ていて魅力になってる。
 二ツ目になってこれからきっとどんどん噺を増やしていって、また自分のカラーも徐々に出していくんだろうなぁ。
ほんとにこれから先が楽しみだ~。