りつこの読書と落語メモ

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さん助ドッポ

1/30(月)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行って来た。

・さん助「西海屋騒動」より第五回「鐵牛和尚」
~仲入り~
・さん助「ぞろぞろ」
・さん助「妾馬(通し)」


さん助師匠「西海屋騒動」より第五回「鐵牛和尚」
前回行かなかったので、入場の時にいただいた第四回「お照と義松」のあらすじと人物相関図を開演前にあわてて読む。

 

花五郎が郡伴蔵を殺したため、伴蔵の妾だったお照は幼子義松を連れて出奔する。
女だと泊めてくれる宿もなく困っていると声をかけてきたのが馬方の辰五郎と妻の小山。一夜の宿を提供してもらい感謝して床に就くのだが、実はこの夫婦、親切を装って旅人を泊めて惨殺し身ぐるみ奪う「ごまの灰」を稼業としている。
それに気が付いたお照は義松を連れて家を抜け出すのだが、辰五郎が追って来てお照を殺して地蔵堂に捨て置く。
通りかかった森田屋才兵衛が生き残った義松の泣き声に気が付き、このまま放っておくと獣に食べられてしまうと連れて帰る。
義松が伴蔵とお照の間に生まれた子で、二人とも殺されてしまったことを知った才兵衛は義松を自分の子どもとして育てることにする。

以上が前回までのあらすじ。
 
義松が10歳になった時、才兵衛が「お前に本当のことを教えよう」と言って話をする。
というのは、義松は性根が腐っていて家の金だけでなく奉公人の金にまで手をつけるため、もう家においてはおけないということで、高崎のとある夫婦に引き取ってもらうことにしたのだ。
話を聞いた義松は「拾ってくれと頼んだ覚えはないのを勝手に助けて今さら邪魔になって追い出すのか」と毒づき、才兵衛が間に入った男に金をやるところを見て「俺を売って儲けやがったな。割り前をいくらかよこせ」とまで言う。
才兵衛の実子である重太郎が飛び込んできて義松に殴りかかるが、男がまぁまぁとおさめて義松を連れて出る。
 
ある日、義松が剣術の稽古をしているとその日才兵衛宅に泊めてもらっていた乞食坊主(花五郎)が「腕が未熟だな」と声をかけてくる。
かっとなった重太郎が勝負を挑むのだが見事な腕前で重太郎はまるで歯が立たない。
才兵衛が割って入りどうにかその場をおさめる。
花五郎を部屋に招いて才兵衛が言うには、ある時武芸の達人である原田新十郎が脚気になって何日か逗留したおりに、重太郎に剣術の稽古をつけてくれた。それ以来熱心に稽古をしているのだが、村には教えてくれる人もおらずもっぱら我流。しかしこの村でかなうものがいないのですっかり天狗になり困っていたところだった、と。
新十郎の名前を聞き、実は自分は彼の門弟であると告げる花五郎。
それがなぜ坊主に?という問いに、今までのいきさつを語り、今は新十郎につけてもらった「鐵牛和尚」というのが自分の名前だという花五郎。
背中の彫り物を見せてくれと頼む重太郎に、真っ赤に焼けただれた背中を見せる花五郎。
自分は坊主になるときに、こうやって彫り物を焼き落として今までの自分とは別れを告げたのだ、という。
 
どうか自分の師匠になって剣術を教えてくれと頼む重太郎。「強くなりたいのです」との言葉に「お前は人を殺したことがあるか。人の血を受けたことがあるか。その痛みも知らずに強くなりたいなどと言うものではない。剣など持たないに越したことはない」と言う花五郎。
そういいながらも、才兵衛に懇願されて無下には断れず、結局幾日か逗留して重太郎に剣術の稽古をつけてやり、重太郎は最後には花五郎も驚くほどの上達を見せる。
 
一方高崎に売られた義松を引き取ったのは、お照を殺した辰五郎とお山の夫婦。
この続きは次々回。(次回は鈴本のトリの初日なので西海屋騒動はお休み)
 
うーむ。やっぱり花五郎って破たんしてる。
好き好んで人を殺してたとしか思えないのに「人の血を浴びたことがあるか」とか言っちゃってさー。それで剣など持たない方がいいと言いながら結局重太郎に教えちゃうしー。
そしてなんなの、義松が売られた先が自分の母親を殺した辰五郎夫婦って。イッツアスモールワールドすぎやろ…。
で、次回は鈴本のトリの初日だから西海屋騒動はお休みで、3月には陰惨なのをたっぷりやりますから、とのこと。
 
さん助師匠「ぞろぞろ」
わーーい。「ぞろぞろ」!やっぱり私はこういうばかばかしい噺が好きだなー。
おじいさんとおばあさんがほんとにおじいさんおばあさんらしくて笑ってしまう。
そして暇すぎて自分のひげを抜いてる床屋の親方がなんともいえず無精な感じでおかしい。
サゲも気持ち悪く(!)決まってナイス。
 
さん助師匠「妾馬(通し)」
「妾馬」を通しで聞いたの初めて!
井戸の錨がなくて八五郎が裸で井戸に飛び込んでびしょびしょになっているところに、お鶴に目を止めた殿さまの使いが訪ねてくるところから始まる。そしてこの錨が最後の方にも出てくる。
 
昨日稽古したら1時間かかったんだけど、それだと片づける時間がなくなっちゃいますので…とおそらくかなり刈り込みながら。
 
お殿様の使いが来て八五郎に話しかけるんだけど、八五郎がここがどんなに貧乏長屋か、大家がケチだから井戸の錨がなくなっても用意してくれないということをべらべらしゃべる。
侍が「いやその話はもういい」と言ってもまだべらべら喋ってる。
その後大家の家を教えてもらって侍が大家を訪ねていくと、八五郎が粗相をしたと思った大家が言い訳をべらべら。
侍が「そうではない。」と言ってお花のことを尋ねると、お花が間違いを犯したのかと思って「あれはまだ13歳。ほんの子供です」と庇う。
妾にしたくて声をかけられたとわかると急に「あれは18歳です」。
「どちらじゃ」と聞けば、悪い時には13歳でいい時は18歳に使い分けている、と。
話が止まらない大家に「なんだこの長屋は。おしゃべり長屋か」と侍が言うのがおかしい。
 
お鶴の母親のところを大家が訪ねていくと、借金取りだと思ってまたこの母親がべらべら言い訳をする。
大家さんを家に入れて「実は殿様が妾にしたいと言って」と聞くと、自分の事かと思って恥じらうのがばかばかしくもおかしい。

大家の家を訪ねた八五郎。
大家に妹の支度金をいくらにするかと聞かれて「女郎に売ったとしたら」と計算するのがひどいやらおかしいやら。
そしてお屋敷に行ってからの場面もわりとあっさり。
八五郎が飲み食いする席にお殿様は同席してないんだけど、確かにその方がリアルだなー。
酔っぱらって大声になってくる八五郎に対して、それを窘めながらも最後は「もっと大きな声で言え」という三太夫が素敵。
妹と再会するシーンもなく、おふくろが孫に会いたがってたというセリフだけ。
 
そして最後には出世した八五郎が馬に乗るシーン。だから「妾馬」っていうタイトルなんだ!
 
とにかくさん喬師匠の「妾馬」とは正反対。人情噺のかけらもないアンチ人情な「妾馬」。
そして八五郎がもうどこをどうみてもチンピラっぽい(笑)。
ひねくれ者のさん助師匠らしい「妾馬」だったなー。(←ほめてます)
 
あーでもなんかさん助師匠らしい突き抜けた明るさが戻って来ててよかった。
この数か月バランスを崩しているように見えてひやひやしていたのだ。(余計なお世話だが)

次回の「さん助ドッポ」 2/21(火) 両国亭 19時開演
明烏」「疝気の蟲」他
その後は、3/20、4/26、5/29