りつこの読書と落語メモ

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せめ達磨 vol.66

1/20(金)、中野小劇場で行われた「せめ達磨vol.66」に行ってきた。

・きく麿・めぐろ 前説
・あおもり『愛を詰め替えて』
・天どん『正月太り』
・ゲスト:バロン(ヴォードビル)
~仲入り~
・めぐろ『粗忽の韻』
・きく麿『いやじゃいやじゃ』

あおもりさん『愛を詰め替えて』
前座さんも新作をやるのがせめ達磨スタイル。あおもりさん、そうか、白鳥師匠のところに入ってるってことは新作派だったのか!
よく「稽古はどこでしますか」と聞かれますが、どこでもやるんです。自分の家でもやりますけどアパートなのであまり大きな声は出せないのでカラオケボックスに行ってもやりますし、道を歩きながらとか電車の中でとか。もちろん電車に乗ってる時はそんなに大きな声は出せないんですけど、やってるうちに力が入ってきて気が付くと結構大きな声を出していてまわりから人が一人減り二人減り…としていくことはよくあります。
この間も電車の中で「誰かと思ったらはっつぁんかい」なんてやってたら周りから人がいなくなっていったんですけど前に立っていた若い女性だけはいなくならなかった。そのうち彼女が「あの…あなたも、ですか」と聞いてきた。
見たことのない人だったのでプロじゃないなと思いつつ、でも大学の落研とかなのかな?私は落語協会ってところで前座やってるあおもりと申しますと名乗ろうとした時、彼女が言った。「あなたにも見えるんですか?」。
どうやら上下を振ってるあたりに、彼女には何かが見えていたらしい…。

そんなまくらから、シャンプーとコンディショナーの噺。
あなたと別れたくないとすがりつく女に「おれ中身がないんだ。からっぽなんだ」と男。
女の方がコンディショナーで男の方がシャンプー。
今まで詰め替えられて命をつないできた(?)ふたりだったのだが、この間住人が薄毛用のシャンプーのボトルを買って来ていたから、中身がなくなったらいよいよ捨てられる、と絶望しているのである。

なかなか微妙な(笑)新作だったけど、ちょっと暗めなのが独自な感じで面白いあおもりさん。二ツ目になったらきっとバリバリの新作派になるんだろうな。


天どん師匠「正月太り」
お正月、龍玉師匠と一緒に地方の仕事に行った時の話をつらつらと。
地域寄席に毎年呼んでもらっているんだけど世話人が結構熱心で村の住人の半分ぐらいが来るんだからすごい。それにしてもなんでああいうところの人たちは抽選に命をかけるんでしょう。なんであんなにもらいたがりあんなにあげたがるのか。
昨年は120名ぐらいのお客さんの中で60名ぐらいが当たったんだけど、そうすると当たらなかったと文句を言う人たちがでてきた。なので今年はあたりを100名にしました、って…。それは余計にもめるのでは?と思ったのだが、そうなると抽選に1時間半ぐらいかかる。さすがに付き合いきれないので後半の盛り上がるところで出て行くことにしたのだが、それだけ当たるとなると逆にお客さんはあっさり帰っちゃって、最後の方になるほどたいして盛り上がらなかった。
あと、自分たちの前に何が出るかが結構重要なんだけど、今までは熱心な素人さんたちによる獅子舞だった。これに音楽がかかるんだけどこれがやけに音が遠い。外でやってる獅子舞の音楽をラジカセで録音した?みたいな感じ。
で、それはそれでよかったんだけど、今年は獅子舞が手配できなかったらしく、なんと素人の手品。素人の手品や物まねというのはほんとに厄介。というのはこういうのをやる人というのはたいてい自分大好きな人が多くていつまででもやりがたる。
今回も素人手品でいや~な予感がしたんだけど、来てみれば75歳のおじいさん。最初から手が震えてるわ、ガチで失敗するわ、それを挽回しようとまた違う手品をやるわ…もう大変。

まくらというかぼやきが止まらない天どん師匠。
すごく面白いからいいんだけど、時間は大丈夫?と心配になってくる。
さすがにまくらが長すぎたと思ったのか「正月太りの噺をしますよ」と。

正月明け、出社した新入社員を見て「お前誰だ?」と部長。
正月に実家に帰って運動もせず出てくるものを食べて寝てを繰り返していたらこんなに太って人相が変わってしまった、と。
それは困る、と部長。というのは、取引先のお嬢さんが「あの人しゅっとしていて素敵」と彼のことを見初めて一緒に飲みに行くことになっているのだ、という。
そんなことを言われても…と困っていると、そいつの同期でやせている男がやってくる。じゃ、お前を身代わりにしよう、と部長。
そんなのばれるに決まってるじゃないですか!というと、しゃぶしゃぶにして湯気をぼーぼー立てればたいして顔も見えないだろうから大丈夫、という。

座布団の上で腹筋やったり腕立てやったりはてはポールダンス(!)の真似事をやったり…妙にアクティヴなのがおかしかった。


バロンさん ヴォードビル
ウクレレを弾きながら歌い、タップでリズムを刻み、客席をあおり、最後は帽子の曲芸まで。
うおお、好き好き!
選曲が絶妙でユーモアのセンスもあってものすごく好み。
「天どん師匠が長講だったので」と時間が短めだったのが残念!
楽しかった~。

めぐろさん『粗忽の韻』
学生時代、友だちとチームを組んでラップをやってたことがあるというめぐろさん。くくまさんにお金を貸したけど期日になっても返してくれないから一緒に取り立てにいってくれ、とご隠居。
言われたはっつぁんは「くまとは関わり合いになりたくない」とにべもない。
なんでも最近くまさんはラップにはまって「ヨーヨー」言ってるらしく、危なくてしょうがないのだという。
それでも返してもらえたらその半分の3両をやると言われたはっつぁんは、それなら…と言って一緒に吉原に乗り込んでいく。
ラップ対決をして勝ったら返してやるというくまさんと花魁とのラップ対決が始まる…。
花魁の「ずびずびずび…」というリズムで始まるラップ対決がなんともばかばかしい(笑)。私は花魁のラップが好きだったな。ちゃんと韻を踏みながらちょっと悲惨なやさぐれた人生をうたっていて。


きく麿師匠『いやじゃいやじゃ』
おばあさん(?)二人が会話をしている。

「お餅はどうやって食べるのが好き?」
「そうねぇ。私はお醤油につけて海苔をまいて食べるのが好きね」
「ああ、いいわよねぇ。お醤油に砂糖を入れて砂糖醤油もいいわよね」
「ああっ砂糖醤油ね!いいわね!あれを初めて食べた時は感動したわっなんかこれって究極!って思って」
「あら…究極じゃないわよ…」
「そ、そうね…言い過ぎたわ」

なんかこのほかにすることがないからどうでもいいことをしゃべってる感じがたまらない。な
私、きく麿師匠の新作のまったり続く会話が大好き。「陳宝軒」の冒頭部分とか「スナックヒヤシンス」のママとチーママの会話とか。
面白い人がやるとなんてことない会話が楽しくていつまでも聴いていたくなるけど、そんな感じ。

そんな二人の会話にちょいちょい挟まれるのが、「ごろうさんが餅を喉につまらせてくれてよかった」。
つい忘れて安易に餅を飲みこみそうになるんだけど、その時にごろうさんのことを思い出して「危ない」って気がつくことができる。ほんとによかった。ごろうさんのおかげ。

そのごろうさんが後半に登場して、この前半のまったりした餅の会話が壮大な(!)仕込みであったことがわかるのがもう…ばかばかしいやらすごいやら。最高。