りつこの読書と落語メモ

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薄情

薄情

薄情

★★★★

地方都市に暮らす宇田川静生は、他者への深入りを避け日々をやり過ごしてきた。だが、高校時代の後輩女子・蜂須賀との再会や、東京から移住した木工職人・鹿谷さんらとの交流を通し、かれは次第に考えを改めていく。そしてある日、決定的な事件が起き―。季節の移り変わりとともに揺れ動く内面。社会の本質に迫る。滋味豊かな長編小説。

作品ごとにがらりと印象が変わる作家さんだなぁ。

地元群馬の実家に暮らし叔父の神主の仕事を継ぐことになっている主人公宇田川は、人との関わりを避けて根なし草のように振る舞うが、踏み込む勇気がないだけで実はそれを求めているようにも思える。
地元から出ていこうとする者、都会から来て住む者に対する感情はなんとなくわかる。なんとなくはわかるけれど経験のない私には決定的にはわからない。経験がある人にはきっと痛いようにわかるんだろうな、と思う。

「よそ者」の鹿谷に対する彼らの行動は、薄情といえば薄情なのかもしれないが、薄情という認識を持つところがちょっとウェットとも感じる。
珍しくのめり込みそうになった恋人とのエピソードがなんか好き。面白かった。