りつこの読書と落語メモ

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夜、僕らは輪になって歩く

夜、僕らは輪になって歩く (新潮クレスト・ブックス)

夜、僕らは輪になって歩く (新潮クレスト・ブックス)

★★★★

内戦終結後、出所した劇作家を迎えて十数年ぶりに再結成された小劇団は、山あいの町をまわる公演旅行に出発する。しかし、役者たちの胸にくすぶる失われた家族、叶わぬ夢、愛しい人をめぐる痛みの記憶は、小さな嘘をきっかけに波紋が広がるように彼らの人生を狂わせ、次第に追いつめていく―。鮮やかな語りと、息をのむ意外な展開。ペルー系の俊英がさらなる飛躍を見せる、渾身の長篇小説。

主人公であるネルソンに何かが起きたことが示唆されているので、いつ何が起きるのかと不安な気持ちで読み進めることになる。
ここではない何処かに行くこと、偉大な何者かになること、若者ならではの選択がこんな悲劇を生むとは…。

内戦が終結し平和になったように見せかけてはいるものの、まだまだ決して安全ではない世界。
「収集人街」という監獄には無実の罪で収容された人たちが大勢いて彼らを救う「正義」はなくそこに入れられてしまえば想像を絶する「地獄」が待っている。
そんな危険が近くにあることをなんとなくはわかっていながらも「物語」でしかなかったその悪がいきなり自分をまきこんできたら…。

語り手が当事者になるともう安全ではない。
読んでる私自身も気が付けばこの輪の中にも巻き込まれているかもしれない。
読み終わってもこの世界から逃げきれずになんだか気持ちの整理がつかずざわざわした気持ちが続いている。