りつこの読書と落語メモ

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ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集

★★★★

「旅先で何もかもがうまく行ったら、それは旅行じゃない」
村上春樹、待望の紀行文集。
アメリカ各地、荒涼たるアイスランド、かつて住んだギリシャの島々を再訪、長編小説の舞台フィンランド、信心深い国ラオス、どこまでも美しいトスカナ地方、そしてなぜか熊本。旅というものの稀有な魅力を書き尽くす。写真多数を収録。

かつて住んだ町や島、旅行で訪れた場所や出会った人たちや食べ物についてのんびりと書かれているが、作者の人柄や趣味などがじんわりとにじんでいてそれがまた楽しい。

美味しいワインを飲み、美味しい魚を食べ、ランニングを楽しみ、その土地に住んでいる「神様」を感じ、空気を味わう。
ことさら観光スポットを見に行ったり刺激的な体験があったりするわけではなく、むしろ、特になんということもない場所で物を見て、そこに見えたものを丁寧に書いているのが印象的。
作家ならではの感じ方や見方があってこういう経験が彼の小説の空気を作っているのだろうなぁと感じた。

自分が訪れたことのある場所であればムラカミハルキの目で見るとこういう風に見えるのかという楽しみ方もできたんだろうが、どこも行ったことがない場所ばかりで、ひたすら「へーー」と思いながら読んだ。
楽しかった。この人の紀行文はいいな。押しつけがましくなくて。