りつこの読書と落語メモ

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カールの降誕祭

カールの降誕祭

カールの降誕祭

★★★★

日本人女性に恋をしたパン職人が、“まともなパン屋”でなくなってしまった理由とは(「パン屋の主人」)。規律を守り、公明正大だった裁判官に退職後おとずれた、すさまじく数奇な人生の結末(「ザイボルト」)。十世紀から続く貴族トーアベルク家。クリスマスの帰省中に息子が起こした哀しい惨劇(「カールの降誕祭」)

おとなしいフツウのひとが道を踏み外す瞬間を淡々と描いている。
そもそもおとなしい、普通、害のない、というのはなんなんだろう。
犯罪者と普通の人の境界ってなんなんだろう。

抑圧されているうちに自分たちのなかに隠し持っているマグマがどんどん熱くなっていくのだろうか。
つもり積もった恨みや我を忘れるほどの嫉妬や怒りが爆発し一線を越える可能性は自分にもあるのだということに気付かされる。

こういう怖い物語を、人間ってこういうものですよ、と淡々と描いてみせる。
シーラッハは怖いけれど魅力的。出版されたら必ず読みたい作家のひとり。