りつこの読書と落語メモ

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冬の物語

冬の物語

冬の物語

★★★★

ナチス占領下のデンマークで書かれ、作家自身がもっとも愛した短篇小説集。北欧の春は華やかに押し寄せ、美しい夏が駆け抜けると、長く厳しい冬がひたすらつづく。ナチス・ドイツ占領下にあった冬の時代、デンマークの人びとの生の営みを、大自然のなかに灯された命の輝きとして描きだす。『アフリカの日々』の作家が物語る力を存分に発揮した作品集。〈イサク・ディネセン生誕一三〇周年〉

「アフリカの日々」がとにかく良かったので期待を込めて読んだ一冊。
寓話的な物語が多く、またキリスト教的な道徳観も色濃いのだが、物語がどちらに転ぶかわからない破天荒なところもあってそこが面白い。
描かれる女性たちがみな強いところに、ディネセンらしさも感じる。

この物語はナチス占領下のデンマークで書かれたとのこと。これらの物語が当時の人々にどう受け止められたのだろう。
「女の英雄」はここに収められた中では唯一年代も主張もはっきりした作品だが、きっとこれを読んだ人たちは希望を抱いてこの物語を読んだのではないか。

解説を読むと、ディネセン自身が自作の中でこの短編集が一番好きだと語っていた、とある。
作者自身も大切にしていたこの短編集。私も何度も取り出して読み返したい。