りつこの読書と落語メモ

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ムシェ 小さな英雄の物語

ムシェ 小さな英雄の物語 (エクス・リブリス)

ムシェ 小さな英雄の物語 (エクス・リブリス)

★★★★★

スペイン内戦下、バスクから疎開した少女を引き取ったベルギーの若者ロベール・ムシェ。その出会いが、彼の人生を思わぬ方向へと導いていく…。それから70年近くを経て、バスクの作家によって見いだされた、無名の英雄をめぐる心揺さぶる物語。

とても良かった。ノンフィクションをもとにしたフィクション?と最初はちょっと警戒しながら読んでいたのだが、読んでるうちにどんどん物語に引き込まれていった。
いやもちろんその手法のおかげで物語に奥行きができたり、読み終わった時に単なるフィクションとは違った後味があったりするのだと思う。
でもどんな手法を使っていてもいなくても、ムシェという魅力的な人物が生き生きと描かれていて、そこには確かに時代や国を越える普遍的なものがあって、それこそが物語の力、文学の力だと思うのだ。

ムシェのことが大好きだったのに仲たがいをしてしまいその後関係は修復したものの、自分がレジスタンス運動に誘ったばっかりにムシェを失うことになってしまった親友の、真に結び付いた二人のうちの片方が死んだ時本当に死ぬのは残された方という言葉が忘れられない。
そして大切な命を束で根こそぎ奪って行く戦争への憎しみが残った。