りつこの読書と落語メモ

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片隅の人生

片隅の人生 (ちくま文庫)

片隅の人生 (ちくま文庫)

★★★★

眼科の名医サンダースは、中国人富豪の目の手術をするためマレー列島の南端にあるタカナ島を訪れる。手術は成功したものの、退屈しながら帰りの船を待っていたサンダースは、たまたま島に寄港した帆船の船長ニコルズとミステリアスな乗客の青年フレッドに興味を抱き、彼らの航海に同行することにする。南洋の島々を舞台に、老若男女の人間模様をシニカルに描いたモームの長編を新訳で贈る。

「自分の体験したことと自分の感情しか信じない」「この世界は私と私の感情から成り立っている」と語るサンダース医師はモーム自身を体現しているのだろうか。
利己的で善悪にとらわれず何ごとにも感情を揺さぶられず諦めの境地から人々を眺めるサンダースは、あくまでも観察者ではあるけれど、この人の視線が物語全体の空気を作り出している。
こういう人生の面白がり方もあるのかなと、共感半分反発半分。

物語としては地味だけどじわじわと面白い。
特にルイーズの最後の言葉がもう…!モームってほんとに女に厳しいよねぇと思いながらも女のことをほんとによーくわかってるよねぇと思う。

今年もモームをコツコツ読もう。