りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

11/28(月)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。

・さん助「ある侠客の死」(「西海屋騒動」より)
~仲入り~
・さん助「やかん泥」
・さん助「質屋庫」


さん助師匠「ある侠客の死」(「西海屋騒動」より)
「今回から前半に西海屋騒動の方をやることにしました。なにせ仲入り後にやりますとお客様方がお疲れになって寝てしまうもんですから」とさん助師匠。
今日は鈴本の夜の部の出番があって、休んでもよかったんだけど先輩方から「寄席の出番はできるだけ休まない方がいいよ」と聞いていたので、順番を入れ替えてもらって寄席も出ることに。
この会場は17時にならないと入れないので17時にこちらに来て鍵を開けて挨拶をして、それから鈴本に行って出番を終えて帰ってきた。
設営なんかも全部UNAさんにやっていただいてしまった。だからなんか不備があったら私じゃなくてUNAさんのせいです(←ひどい!)。
ほんというとこの会の主催は私でUNAさんには予約とチラシと受付だけをお願いしていたんですけど、どんどんUNAさんの負担が増えてきて…。こんなことじゃ次回はUNAさんが来てくれなくなっちゃうかもしれない…。

…そう思うならちゃんと感謝の言葉を伝えてくださいよ、ほんとにもう…。
毎日twitterで会の情報をつぶやいたり予約のメールや電話を受けたり。そういうのってほんとに大変。
私のお友達の中にも会を主催してる人が何人かいるけど話を聞くにつけ「おれはぜったいできねぇ…」と思うもの。
UNAさんは主催じゃないといってもいつもすごい心を配ってるのが伝わってくる。
ちゃんと感謝の気持ちをかたちにしてよね!と念を送る私たち。(きっとほかの人も同じ気持ち)

そんなまくらから「西海屋騒動」。
伴蔵、お雪、権次と殺し、自分が伴蔵を殺して悪政を終わらせたということを壁に書いた花五郎。(〇〇参上!的な)
屋敷をあとにしたがさすがに疲れて足が鉛のように重い。
途中で地蔵堂にもぐりこむとそこでぐーっと寝てしまう。
そこにやってきたのが市之進。これは伴蔵の家来なのだが清廉潔白な男で「この人が奉行だったらよかったのに」と噂されている男。
市之進の弟の新十郎は花五郎に剣術の稽古をつけている師匠でもあり、花五郎と新十郎はとても仲がいい。
その新十郎は修行に出かけそれ以来行方知らずになっているのだが、市之進と花五郎も親しくしているのだった。

その市之進が伴蔵の屋敷を訪れて、屋敷の者からことのあらましを聞き、実際にその惨状を目にする。
「このことは口外するでないぞ」と家来や屋敷の者に言い、花五郎を探しに来た市之進。地蔵堂で寝入っている花五郎を見つけ捕らえて自分の屋敷に連れ帰る。

翌朝目を覚ました花五郎。
地蔵堂で寝たはずが布団がかかっていておや?と思う。
縄で縛られていることに気づき引きちぎろうとするのだが、市之進の屋敷であることに気づき、ならば意のままに…とそのままにしておく。
昼間は客人のように扱われるのだが、夜になると市之進が呼んでいると言われ、むしろの上に座らされる。
先ほどまでとはずいぶん扱いが違うなと笑う花五郎。
これは市之進に裁かれ斬られるのだろう、市之進に斬られて死ぬなら本望だと腹を括る。

出てきた市之進はいくら伴蔵が悪政を行っていたとはいえ、奉行を殺してそのまま無罪放免にするわけにはいかぬ。お前の首を斬ってやるから念仏を唱えていろ、という。
花五郎が目をつぶって念仏を唱えていると、えい!と斬りかかった市之進。首ではなく花五郎の髷を斬る。
何事かと目を開けた花五郎に「お前の首を斬るつもりはない。髷を切ったからこの村を離れて僧になれ」という。

最初は殺してくれと言う花五郎だったが市之進の説得に応じる。
市之進はここだけの話だがよくやってくれた、と言いながらも「でもお前は少し考えが足りない」という。
事の発端は金次郎が女房の小蝶を権次に連れていかれたと相談に来たことに始まる。
お前は事情もよくわからないのに小蝶の言い分も聞かず連れ帰り、金次郎が小蝶を殺すと、今度はお前が金次郎を殺して「あの世で夫婦仲良くやれ」と言ったというじゃないか。そんなのはずいぶん勝手な言いぐさだし任侠の道から外れるんじゃないのか。
伴蔵のことだってなぜ自分に相談しなかった。自分に相談してくれればもっとやりようがあったものを。
市之進の言葉にうなだれる花五郎。
「旅に出る前に一日だけ時間をくれないか」という。
「もう血を流させるようなことはしない」という花五郎に「では一日やろう」と市之進。

雪の降りしきる夜、熱く燃える炭を背中に当てて彫り物を焼き消して任侠の道を断つ花五郎。
で、花五郎の回は終わり。

うおおお。
なんと第一回目からの話がちゃんと回収された!
任侠もの好きな(!)私の友達が第一回を見た時に「花五郎のとった行動は任侠の道からはずれてる」と言っていたんだけど、それを市之進が指摘していて、うおおお、やっぱりそうなんだ!と腑に落ちた。
第一回目を聞いた時はなんか破たんしているように見えた花五郎の行動だったけれど、こうして三回目までを聞いてみると、ようやく力関係というか彼の立ち位置も見えてきて、ちゃんと筋が通っているのだなと納得した。
次回からまた違う話になっていくようなので楽しみ。


さん助師匠「やかん泥」
この間鈴本で見たマイフェバリット小噺。
面白くないわけじゃないんだけどさん助師匠ってまくらのあと変な沈黙が入るからビミョーな空気になるんだよねぇ。落語に入ると陽気なのにまくらだと声も小さくてちょっと陰気だし。
なんだろ、照れ?

そんなまくらから「やかん泥」。
いやぁこれほんとに楽しい。私「鈴ヶ森」よりこっちのほうが好き
兄貴分が犬の穴から家に入るところ。反則だよーというくらいおかしい。あのとんがった禿げ頭、落語ではプラスになるよなぁ。(え?失礼?)


さん助師匠「質屋庫」
番頭さんを呼んで「うちの庫(くら)が世間で噂になっている」と言う質屋の主人。
庫に入れてるモノには質に入れた人たちの「気」が入っているから火の玉となって現れる、というのを説明するために、質屋の主人が「あるおかみさんが反物を買って帯をこしらえて…」という長々としてエピソードで語るのがすごくおかしい。
おかみさんがへそくりをためるのをなんだっけ、タンスに置いた竹筒にカランコロンストン?だったっけ。こういうのさん助師匠、好きそう~。

番頭が怖がるから強そうな人を呼んで一緒に見張ることになって、定吉がくまさんを呼びに行かされるんだけど、この定吉がほんとにかわいい。さん助師匠の定吉はかわいいなー。それにひきかえ金坊がかわいくないんだよなぁ…もごもご…。
口が軽いと言われた定吉は「なんで呼ばれたんだ?小言か?」とさぐりを入れるくまさんに「言えません!でも旦那様怒ってましたから小言ですよ!」。
何度さぐりを入れても話さないので「好きなものを買ってやる」と言われた定吉が「じゃいもようかん買ってください。1つじゃなくて3つ。あとの2つを店の人たちにあげて、”あいつは自分の分だけじゃなく周りにも気をつかうやつだ”って言われて出世するんですから」っていうのがおかしい。

主人の前に座ったくまさんが小言だろうと思って次から次へと自分の悪事を告白していくのがおかしい~。
しかもそれがぜんぶ最初は余った酒をもらって帰って飲んでみたらおいしくてそれがなくなって前のまずい酒が飲みたくなくなっちゃって拝借しちゃった、っていう流れ。
庫の番をするところはわりとあっさり。腰が抜ける二人がとてもかわいい。

やっぱり私はこういうばかばかしい噺が好きだなー。

 

「さん助ドッポ」今後の予定
12/26(月) 、1/30(月) 、2/21(火)、3/20(月) 開演 19時(18時半開場)  お江戸両国亭
12/26(月)「さん助ドッポ」