りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

雷門音助勉強会Vol.5

12/15(木)、連雀亭で行われた「雷門音助勉強会Vol.5」に行って来た。


・晴太「牛ほめ」
・音助「加賀の千代」
・笑二「猫忠」
~仲入り~
・トークコーナー(笑二、音助)
・音助「長短」


晴太さん「牛ほめ」
前座さんらしくすごく大きな声を出して素直な落語なんだけど、なんともいえず面白い。最近の前座さんの中で一番面白いと思うなー晴太さん。
一緒に行った友だちが「お?」と身を乗り出したのを見て自分の手柄のように「でしょでしょ!面白いでしょ!」と思う。
高座に上がって電気をつけてないことに気付いてあわてておりようとして足をぶつけたの…痛そうだったけど、それも含めて面白かった。(すみません!)


音助さん「加賀の千代」
師匠のところで猫を飼いだして、師匠宅が猫中心の生活になってしまったらしい。
上げの稽古に伺いたくて電話をすると「うん。でもね。うち今猫がね。」と師匠。
いやいやいやいや猫が大変でも上げの稽古に伺いたいんです!
…とはもちろん師匠に対して言えない。
「だから寄席があるときに寄席に来てくれればそこで見るから」と師匠。
いやいやいやいやそれじゃ困るんです。
…とはもちろん言えない。
でも音助さんの「…はい」に師匠が気付いてくれて話を聞いてくれた。優しい師匠なんです。
と音助さん。

なんかこういう話を聞くとすごくうれしくなっちゃうなー。
やっぱり自分と違う世界だから、なんだろうか。素敵だな、と思う。

そんなまくらから「加賀の千代」。
音助さんの甚兵衛さん、かわいいなぁ。
なんかぼけっとしていてちょっと与太郎っぽいんだけど人がよくてのんびりしている感じが出てる。

前座の頃は端正な落語をする人だなぁと思っていたけれど、二ツ目になって、爆笑系の噺にもどんどんチャレンジしていて、最初の頃は「なんか音助さんらしくない」と思ったけれど、最近は独自の味が出てきてる。
すごいなー。ほんとに成長してるんだ。ぐんぐん。

ご隠居がほんとに甚兵衛さんのことが大好きっていうのが伝わってきて、見ていてすごく幸せな気持ちになってくる。
それもこの甚兵衛さんがほんとにかわいいからなんだな。
奥さんの恐妻ぶりがクローズアップされる噺家さんもいるけど、音助さんの「加賀の千代」は甚兵衛さんとご隠居の仲の良さが引き立っていて、とても好きだった。


笑二さん「猫忠」
前座の頃クリスマスイブに師匠から電話がかかってきて「お前今日予定ある?」と聞かれた。
「ありません」と答えると「イブなのに寂しいやつだな。家でパーティやるから来るか?」。
こ、これはどうしよう…と一瞬迷った。
もしかして「罠」かもしれない。(どんな罠だ?)
いやでももう最初に予定がないって言っちゃってるし、師匠がそう言ってくださってるんだからと「ありがとうございます。お邪魔させていただきます」と返事。

行ってみると、吉笑さんは仕事があって欠席。
パーティのメンバーは師匠、おかみさん、お子さん、それに笑二さん。
うわ、これはめちゃくちゃ気まずい。しまったー。
でも師匠は優しいから食べ物を取り分けてくれたりいろいろ気を使ってくれる。
お子さんがまだ小さいのでおかみさんは早々にお子さんと寝に行ってしまい、師匠と二人リビングに残された。
すると師匠が「お前、ダイハード見た?」
「いいえ、見たことありません」と言うと「じゃ見る?」。
二人でソファーに座って「ダイハード」を見始めたんだけど、なぜダイハードかと思ったらクリスマスが舞台になっていたかららしい。
緊張していてあまり話が頭に入ってこなかったけれど最後まで見終わり、ふと見ると師匠が寝込んでいる。
「師匠、終わりました」と揺り起こし、時計を見ると0時を回っている。
これでお開きだろうと思っていると、師匠がシャンパンを開けてグラスを二つ持ってきて「メリークリスマス」。

うひょーーー。
な、なんかすごく素敵なんですけど。
吉笑さんも「うちの師匠は本当に優しい」といつも言ってるけど、ほんとなんだね。

そんなまくらから「猫忠」。
私、こういう噺大好きなんだよねー。あんまりされる噺じゃないから、こういう噺をしてくれるともうそれだけでポイントが上がっちゃう
しかも笑二さんだからただでさえ面白い噺に笑二さんらしい味付けがされて、たまらない面白さ。

あったかい刺身…。
ああ、そうだ、それで思い出した!たまさんで見たことがあるんだ。
話を聞いた兄貴が「それは化け物かもしれねぇから、耳のところを触ってみろ。人間ならなんてことないけど化け物なら反応するはずだからそうしたら”ピョコピョコ”って外に向かって言え」。

…ピョコピョコって…。なにそのばかばかしさ。
しかもそう言われた弟分が、偽物の兄貴と向かい合いながら「もしかして外で待ってる兄貴もピョコピョコだったらどうしよう。」って心配するのもおかしい。

すごく楽しかったー。
笑二さんのくすぐりって押すというよりはちょっと引くからそこがすごく好きだ。


トークコーナー(笑二さん、音助さん)
笑二さんが初めて落語に触れたのは「タイガー&ドラゴン」。
それまで笑点すら見たことがなかった(沖縄ではやってなかったらしい)。
もともとお笑いが好きだったから友達とコンビを組んで吉本の養成所に入ったんだけど、友達は三週間で辞めて帰ってしまった。
一人になってしまってどうしようと思ったときに、そうだ、落語家になろう!と。

なんかイマドキないきさつだけど、顔が古風だからチャラい感じがしないんだよなー(笑)。

で、何かお客さんから質問は…となったんだけど、私ほんとにこういうとき頭真っ白になっちゃって思いつかないんだよなー。
と思っているとお席亭から「一番よく聞いた落語の音源は?あと、ライバルだと思ってる噺家さんは?」と質問。
くーーーーいい質問!
このお席亭さん大好き。チラシのセンスもいいしブログも飾らなくて正直で面白いし素敵な人だなぁといつも思う。

音助さんは、四代目円遊、先代柳朝、先代助六って…渋い!やっぱり渋いんだなぁ音助さんって。
そういうところを普通のトークでは全然出さないから、これはほんとにナイス質問だなぁ。
笑二さんは枝雀師匠を最初に聞いたけど、一番よく聞いたのは談志(北海道の客と喧嘩してるのが入ってる「やかん」が最高!と)と、談春師匠の「高野高尾」って…意外!!談春師匠っていうのが。

そしてお互いの師匠が優しいっていう話をしていて、音助さんが「でも優しい師匠だから怒らせたら絶対いけないって思って。すごい小言の多い師匠の弟子っていつもがみがみ言われてるから右から左に聞き流すようになってる」って言ってたのがとっても印象的だった。


音助さん「長短」
おおお、これは助六師匠の「長短」だ。確かに。この間上野広小路亭で見たやつー。
あの師匠の「長短」はものすごーく独特だったから、確かにそれを習うとこうなるのね、という感じ。
弟子だからああいうふうに師匠の色が濃く出てる噺を教えてもらうっていうのはすごくいいんだろうなぁ。
とはいえ正直言って、なんとなくまだあんまり音助さんのものにはなってない感じではあった。これから変化していくんだろうな。


トークコーナーのおふたり。

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