りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭12月中席昼の部(3日目)

12/13(火) 末廣亭12月中席昼の部に行ってきた。

南なん師匠「鼠穴」
火事と半鐘のまくらから「鼠穴」。
おおお、これは私が友だちに薦められて池袋に南なん師匠のトリの芝居を初めて見に行った時に聞いた噺!

酒と女で財産を失った竹次郎が奉公させてくれと兄を訪ねる場面から。
兄からお金を借りた竹次郎が家を出て中身を改めるところ。
竹次郎が「いくら入ってるかな。たくさん入ってたらいくらか飲むべえか」と気楽に言っていることからも、確かにこの時にまとまった金を渡したらちゃんとした身代は築けなかったかもしれない、ということを感じさせる。

10年たって兄のところを訪ねていくところ。
兄が「泊まっていけ」と熱心に言う様子や心から喜んでいるところを見ると、悪い人じゃないんだな、と感じる。
でも100%本当にそういう気持ちだったのかなぁという疑問もやっぱり消えなくて、それがその後の展開を見ていて「ああ…やっぱり…」と思わせる。

緊迫したつらい場面が続いて、サゲで「そうだったのか!」とほっとして、兄の「あんまりいい役じゃねぇな」という言葉でようやく笑うことができる。

昨日の「蒟蒻問答」と打って変わって笑いどころの少ない噺を丁寧にされる南なん師匠だった。
南なん師匠の落語って若々しいというか清らかというか…何も余計なものが入ってなくて素朴で、かといって変にストイックなわけでもなくてふわっとあたたかい。
だからこんなキビシイ噺でも安心して身をゆだねられるんだなぁ。