りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小のぶの会

12/12(月)、お江戸日本橋亭で行われた「小のぶの会」に行ってきた。

・市朗「子ほめ」
・市楽「代書屋」
・小のぶ「時そば
~仲入り~
・小のぶ「井戸の茶碗


市楽さん「代書屋」
市楽さんらしい明るくて楽しい「代書屋」。滑舌が良くて明るくて堂々としていると安心して聞いていられる。好きだな、市楽さん。


小のぶ師匠「時そば
江戸時代の時の数え方についての説明。
そうかーそうだったのかー。
最初の男が「九つ」だったのに二番目の男が「四つ」だから、ずいぶん早く出かけて行ったんだなぁと思っていたんだけど、九つは夜の0時、四つは22時のことだと。
それから「夜鷹」の説明。これは小三治師匠から聴いていたけれど、「夜鷹」にも縄張りがあってどこにでもいたわけじゃないという話や、「客二つ つぶして夜鷹 三つ食い」の川柳の「つぶす」の説明(しないで説明になってる!)とか…なんかそういうのがすごく楽しい。
なんだろう。ふつうはそういうのただの説明でしかないんだけど、小のぶ師匠の場合はその説明自体におかしみがあるっていうのかな。だから「へー」っていうだけじゃなく、「ぐふふ」って笑ってしまう。

そんなまくらから「時そば」。
最初の男が蕎麦屋に声をかけるところが、どんな噺家さんより威勢がいいので大笑いしてしまう。
小のぶ師匠ってものすごいアクションが激しいんだ。
そしてお世辞も次から次へと機関銃のように飛び出す。
そしてそれをぼんやり見ているのが与太郎さん。
これがさっきの男とは打って変わってのんびりした口調で「なんだいあれは」とぼやくのでまた笑ってしまう。

そしてからくりがようやくわかって「俺もやってみよう」と張り切ってでかけてきて、蕎麦屋に声をかけるところ。一生懸命声をかけても止まってくれない蕎麦屋。「おーい、蕎麦屋ー。おーい。…おーい。おーい。」

そしてこの男が食べるそばのまずそうなこと。汁を飲んで「なんだこりゃ。かれぇなぁ。湯を入れてくれ」。
そばもうどんより太くてべたべたしてのどにくっつく。

おそらくお客さんのほとんどがこの噺は飽き飽きするほど聴いていると思うんだけど、この激しさに場内は大爆笑。
いやぁ「時そば」をこんなに楽しくできるなんて。やっぱり小のぶ師匠ってすごい。


小のぶ師匠「井戸の茶碗
好きだと言う人も多いけれど、なんかねぇ…と思ってしまう噺。なんだけど、小のぶ師匠の「井戸の茶碗がまた想像の上をいく面白さだった。

清兵衛さんが正直だけどそれはもう庶民的で、高木佐久左衛門は若侍らしく血気盛んで、千代田卜斎は高貴でプライドが高い。
3人の人物がくっきりと描かれているので、清兵衛さんの「だから侍はきらいだよ」というセリフや、清兵衛に50両を受け取っちゃいなさいよと言われて烈火のごとく怒り出す千代田氏とかに説得力がある。

なによりも清兵衛がとても明るくておっちょこちょいなので、要所要所で笑いっぱなし。

いやぁ楽しかった。
井戸の茶碗」でこんなに笑えるとは思わなかった。
小のぶ師匠の落語はほんとに楽しいなぁ。そう思ってる人が大勢いるらしくこの日も会場は満員だった。