りつこの読書と落語メモ

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鈴本演芸場11月下席夜の部(3)

11/23(水)、鈴本演芸場11月下席夜の部に行ってきた。

・ひしもち「子ほめ」
・遊京「弥次郎」
・仙三郎社中 太神楽
・菊太楼「粗忽の釘
・左龍「棒鱈」
・ペペ桜井 ギター漫談
・小ゑん「ぐつぐつ」
・一朝「三方一両損
~仲入り~
・にゃんこ・金魚 漫才
・さん助「だくだく」
・正楽 紙切り
・扇辰「甲府ぃ」

 

ひしもちさん「子ほめ」
久しぶりに見たひしもちさん。滑舌もテンポもよくてすごく聞きやすくなってる。
前座さんって成長が著しいなぁ。

 

遊京さん「弥次郎」
前座時代、わざとつまらなく「二人旅」をやってるような印象を受けた時期もあったんだけど、なんか面白いなこの人。
早口でも喋れるのにわざとゆったりした喋り方をしてるみたい。

前座時代は毎日師匠宅で掃除をしていたので、ニツ目にあがってぜひとも買いたかったのが「ルンバ」。
これからお正月になってお餅を食べる機会もあるかと思いますが、餅がのどに詰まったときは叩いたりなんかしないで掃除機で吸い出すといいです。
でもあれですね。家にある掃除機がルンバだったら…。自分が横たわってルンバに探してもらわないといけないですね。餅を。
そんなまくらから「弥次郎」。
のんびり、淡々とした語り口だからなのか、すごく面白いところとそうでもなく感じてしまうところとあって、なんとも独特。
なんか興味をひかれる。遊京さん、もっと聞いてみたくなった。

菊太楼師匠「粗忽の釘
釘を打ち込んだ亭主がおかみさんにお隣に謝りに行ってきなと言われて「俺が行くの?いやだよ。お前が行けよ」
「お前さんが主なんだからお前さんが行くの」
「主なんかいやだ!わらじがいい!!」って叫ぶのが、なんかかわいくて思わず笑ってしまった。
わちゃわちゃしててかわいい「粗忽の釘」だった。

 

小ゑん師匠「ぐつぐつ」
おお、また「ぐつぐつ」!
次の日が雪の予報で寒かったからねぇ…。
ぐつぐつ遭遇率が高いので正直違う噺も聞きたかったけど、大好きな「お茶ひいちゃって」のセリフが聞けてうれしい。
そして時間が少し多めにあったのか、いつもはないシーンもあったりして、それも嬉しかった~。

 

一朝師匠「三方一両損
江戸っ子のまくらだったので「もしや」と思ったらやはり…だった。どうも同じ噺に当たりやすいなぁ。って行き過ぎだからか。ははは。
トリの時よりは時間が短いはずなのだが省いたところがわからない
江戸っ子の啖呵をこんなに楽しくやる噺家さんはいないよねぇ。「なにぉー?」だけで弾むように楽しい。

 

さん助師匠「だくだく」
考えてみると私「だくだく」「ぞろぞろ」「つるつる」「ぐつぐつ」って二文字が続く噺が好きなんだな。

槍を描いてもらうのはいつも通りだけど、今日は手裏剣や撒菱や鎖鎌まで出てきて、先生が忍者の武器の使い方を説明していくうちにどんどんノリノリになってくるという新しい展開。
「これぐらいにしておきましょう。忍者屋敷になっちゃう」っていうセリフも初めて。
噺もいろいろ変化させていくんだなぁ。面白い。
近視で乱視の泥棒の顔がもう…。怪しくて大好きだ。

 

にゃんこ・金魚先生 漫才
この漫才を笑う了見にいまだ達せず、白目。

 

扇辰師匠「甲府ぃ」
「暮らしの手帳」に奥さんと二人で掲載されているらしいんだけど「あそこに書いてあるのはうそばっかり」。
なんでも「結婚する前に商品テストしておけばよかったです」という扇辰師匠の珠玉のギャグもカットされ、全体的に「美談」になってしまっていたのが納得いかないそう。
奥さんが甲州の出身、自分が新潟の出身で、我が家は毎日「川中島の合戦」というまくらから「甲府ぃ」。

大好きだと言う人もいるこの噺を嫌いっていうとなんか血も涙もない人間みたいであれなんだけど、だからなに?と思ってしまうのだ、どうも。もともと人情噺があんまり好きじゃないんだな。ばかばかしい噺が好きなの。落語では。
でも扇辰師匠の「甲府ぃ」、すごく良くてじーんとしてしまった。

とにかく善吉さんがすごくいい。
豆腐屋の主人の言葉を聞いて黙ってしばらくしてから頭を下げる、そういうしぐさから善吉の素朴さやまじめさや純粋さが伝わってくる。
扇辰師匠の沈黙ってすごくいいんだなぁ。

その分、豆腐屋の主人の江戸っ子ぶりが私には少し鼻についてしまうんだけど、でも見ていて気付いたことが。
ことさらこうやって顔を作ったり作った声を出さないとハンサムなだけにメリハリがなくなってしまうというか気取ってるように見えてしまう。ハンサムにはハンサムなりの苦労があるんだなぁ…(違う?)。

主人が善吉に売り声を教えるところ。「とうーーーふーーぃーー」ってすごくゆっくりたっぷり声を響かせるので、なんか気障だなーって思っていたんだけど、これが最後のセリフの時にすごく効いている。
そうかー細部まですごくよく考えられていて、無駄なところがないんだ。

甲府に帰る善吉とお花をテンション高く送り出した主人がその後ちょっと堪えたような表情をしたのにもぐっときた。
そうか、この時代に江戸から甲府へ旅するっていうのはほんとに命がけで、もう会えないかもしれない…そんな不安の裏返しで、お赤飯を用意したりことさらはしゃいでいたのか。

今まで「つまんねー噺」と思っていた噺を違う目で見ることができたし、苦手と思っていた師匠の魅力に気付くこともできた。
同じ芝居に通うのって結構しんどい時もあるけど、やっぱり楽しいなぁと思ったのだった。(また明日も行く!)