りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第1回・夏丸谷中慕情

11/8(火)、Chi_zu2号店で行われた「第1回・夏丸谷中慕情」に行ってきた。


桂夏丸「谷中奇聞・猫怪談」
~仲入り~
桂夏丸「酉の市」


夏丸さん「谷中奇聞・猫怪談」
「夏丸谷中慕情」という名前でこの会場で独演会を始めることになりました、と夏丸さん。
「独演会」と呼ぶのは恥ずかしいという気持ちもあって、というのは一昔前はそうそう簡単に「独演会」なんて銘打つことはなかった。あの志ん朝師匠でも嫌がったぐらい。でも最近はみんな平気で「独演会」というようになって…。
この会場で落語をやったことは前にもあったんですけど、会に名前を付けて「独演会」としてやるのは今回が一回目なので、この場所…谷中にちなんだ噺を、ということで「谷中奇聞・猫怪談」。

夏丸さんの「猫怪談」は前に一度見たことがあったんだけど、その時より小さい会場でものすごく間近で見られたので、とてもよかった。
なにしろ、主人公の与太郎がとてもかわいい。今まで見たことのないタイプの与太郎さんですごくチャーミング。
また大家さんに言われて、与太郎の育ての父親の遺体が入った棺桶を与太郎と一緒に運ぶことになる怖がり屋の甚兵衛さんの怖がり方がすごく激しくて面白い。

夏丸さんって全体的にはきれいで淡々としているのに時にすごくエキセントリックで、そこがすごく魅力的。
この噺ですごく好きなのが、桶が壊れて大家さんと甚兵衛さんが棺桶を買いに行ってしまって、父親の遺体と暗い中取り残された与太郎父親の遺体に話しかけるシーン。
「おとっつぁんが死んじゃってひとりぽっちになっちゃった。あ、おとっつぁんはいつもあたいのことを半人前って言ってたから、ひとりぽっちじゃなくて半人ぽっちかぁ」「ほんとに死んじゃったの?帰ってきておくれよ。また話をしようよ」。

胸に置いていた刃物が無くなっちゃって「猫」に悪さをされて、父親の遺体が起き上がっても、驚きながらも「おとっつぁんは上手。」と囃し立てる与太郎のかわいらしさ。
不気味だけどバカバカしくておかしくてなんともいえない味わい。
すごく良かった。いいな、夏丸さん。強気な言葉と裏腹にデリケートなところが伝わるから、女性ファンが多いんだろう。

夏丸さん「酉の市」
一席目の「猫怪談」を初めて見たのは生之助の師匠の高座。まだ前座に入って間もない頃だったんだけど、変な噺だなぁと思ってすごく印象に残っていた。
そんな話から、自分が前座で入った時のことをあれこれと。こういう話はなかなか聞けないからすごく楽しい。
高校卒業してすぐに前座入りした夏丸さん。180度環境が変わって大変だっただろうなぁ…。若いうちに入るとそれだけ無防備な気がするんだよね。

そんなまくらから「酉の市」。初めて聴く噺。これも芸協噺なのかな。バカバカしくてすごく楽しい!
酉の市を訪れた若い衆3人組がお賽銭を拾ったり熊手を買ったり若旦那を見つけて洋食屋に連れて行ってもらったり。人でごった返した喧騒が伝わってくるし、またこの洋食屋での様子が…これは時代がいつぐらいなんだろう?明治?昭和?懐かしくて楽しい。

この噺にも与太郎が出てきて、これがまたかわいいんだ!
すごく楽しかった。


まくらの間の撮影タイム。いい男。

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