りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

一朝会 浅草見番

9/22(木)、浅草見番で行われた「一朝会」に行ってきた。

・一花「元犬」
・一左「あくび指南」
・一朝「小言幸兵衛」
~仲入り~
・一朝「淀五郎」

一花さん「元犬」
前座さんらしい素直な落語だけど、見るたびに面白くなってきてる一花さん。楽しみだー。

一左さん「あくび指南」
うわー、一左さんひさしぶり!そしてこういう会で一左さんを見るのは初めてな気がする。
ご本人も師匠の独演会の前方をやるのは久しぶり…もしかすると初めてかも、とおっしゃっていた。

一朝師匠に入門したいきさつ。
もともと落語をよく見ていたわけではなかったんだけど、たまたま入った鈴本演芸場で一朝師匠の高座を見て「いいなぁー」と思った一左さん。
次の日も鈴本に行ってみるとやっぱり一朝師匠が出ている。
「この人また出てる。すげー」
今考えれば寄席は10日興業なのだから毎日出てるのは当たり前だったんですどそれも知らなくて。
次の日師匠のところを訪ねて入門を許された。

見習いで師匠について浅草演芸ホールに行くとき、着物姿の女性が近づいてきて師匠に挨拶をして行った。
「あれは…師匠のコレ(小指)ですか」と聞くと「いや、あれは女の噺家だ」と。
今考えるとそこでクビになっても仕方ないぐらいの傍若無人。それでもクビにしなかったところにうちの師匠の懐の広さが…。

そんなまくらから「あくび指南」。
女目当てでお稽古に行って、自分にトンときてると思ってた女があくびの師匠のおかみさんと知ってがっかりする男。
付いてきてくれた兄貴分も、あくびの師匠も、みな三者三様に「いい味」を出していて面白い。
一左さん、大勢のお客さんの前ですごく面白かった!わーい!(なぜか自分の手柄のようにうれしい)


一朝師匠「小言幸兵衛」
台風も近づいてきてるしお客様はいらっしゃらないんじゃないかと心配していたら、こんなにも大勢来ていただいて、と一朝師匠。
雨の日には思い出すことがあります、と修行時代の話。

自分が稲荷町の師匠のお宅に通っていたとき、自分の当番は玄関の窓ふきだった。
雑巾をかたーく絞って窓を拭かなきゃいけないのだが、夏はいいけど冬は水が冷たくてつらい。
あるとき、雑巾をぬらさなくても窓に水をぶっかけてそれを雑巾で拭けば同じことなんじゃないかと気が付いた。
やってみたらだれも気付かないので、こりゃいいやと毎日バケツに水を入れて玄関でどばーっとぶっかけていた。
あるときにバケツに水を入れて運んでるところを師匠に見つかって「おまえ、それをどうするんだ?」(ものまねで)。
とっさに「庭に水を撒こうと思いまして」と答えると「ばかやろう!雨が降ってるぞ!」と。
…師匠は気付いていたんですね。
そんなまくらから「小言幸兵衛」。

次から次へと小言を並べるだけでなんでこんなに面白いんだ?!
大きな声で怒鳴るだけでばかばかしくて笑ってしまう。
根っから明るくて軽いから小言の連発にも全く嫌な気持ちにならない。一朝師匠ってほんとにすごい。
芝居仕立てになるところもこれ見よがしなところが全くなく、だけどすごく調子が良くて気持ちよくて、幸兵衛さんの妄想に笑い通しだった。
楽しかったー。

 

一朝師匠「淀五郎」
一朝師匠の「淀五郎」は前に独演会で見たことがあるんだけど、いやぁ…ほんとにいいんだ…。
何がいいって親方に「本当に死ね」と言われた淀五郎が暇乞いに仲蔵のところを訪ね、ただならぬ気配を察した仲蔵が、自分が芝居を見てやるからやってごらん、と言って見ているところ。
うんうんと芝居を見ていて「うん、わかった。もういいよ」というそのシーンに一朝師匠の弟子に対する優しさがにじみ出ていて、じーん…としてしまう。
一つ一つ丁寧に分かるように教えてくれるところに、崖から突き落とすタイプじゃない師匠がいてくれてよかったなぁと自分自身も救われたような気持になる。

軽くて明るくてさらっとしていてじんわりあたたかい。
最後のセリフのかっこいいこと!
しびれた~。