りつこの読書と落語メモ

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そこのみにて光輝く

 

そこのみにて光輝く (河出文庫)

そこのみにて光輝く (河出文庫)

 

 ★★★★★

北の夏、海辺の街で男はバラックにすむ女に出会った。二人がひきうけなければならない試練とは―にがさと痛みの彼方に生の輝きをみつめつづけながら生き急いだ作家・佐藤泰志がのこした唯一の長篇小説にして代表作。青春の夢と残酷を結晶させた伝説的名作が二〇年をへて甦る。  

 身動きがとれないような閉塞感に満ちているのに少しだけの希望のようなものも感じる。

底辺で虐げられながら生きてきた人間のあきらめや恨みの感情をのぞかせながらも、なににも汚されない純粋さや頑なさを持つ拓児と千夏が魅力的だ。

ドック内での組合と会社との闘争にはあくまでも傍観者でありつづけた達夫が拓児たちの人生に踏み込んで行ったのが意外でもあり感動的でもあった。
彼らを救い出すだけでなく自らも救われている。

決してめでたしめでたしではないがそれでもそこには希望の光が見える。タイトルの通りに。

映画化されているとは知らなかった。見てみたい。