りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第199回長崎寄席

 7/30(土)、ひびきホールで行われた「第199回長崎寄席」に行ってきた。

・辰の子「狸札」
・扇治「たがや」
・扇辰「一眼国」
~仲入り~
・源氏太郎 笑いの音楽
・南なん「中村仲蔵

扇辰師匠「一眼国」
とげとげしいまくらにびっくり…。完全に引いてしまった。

源氏太郎先生 笑いの音楽
主催者の方が「かなり高齢なので心配なんですけど、ご本人はとてもやる気満々でいます。どうなりますか」とおっしゃっていたけど、いやぁほんとにびっくりした。

ギター弾きながらハーモニカ吹いて足のカスタネットでリズムを刻んで皿回し。芸も凄いけど、ご本人から発散されるパッションが凄い。今年88歳になられると。すごい。そして素晴らしい。

南なん師匠「中村仲蔵
源氏太郎先生のことを「ご本人がとても楽しんでやっているのが伝わってきて、素晴らしいですね」と。ほんとにそう。
「私で最後です。気を確かにがんばりましょう」の言葉に癒される。ほんとにこの師匠からにじみ出る優しさとおかしさには慰められるなぁ…。

南なん師匠の「中村仲蔵」は初めてだったんだけど、こんな「中村仲蔵」は今まで見たことがない。
弁当幕のぱっとしない役でがっかりした仲蔵を鼓舞する妻の一言。その言葉で気持ちを持ち直して自分なりの定九郎をやろうと誓う仲蔵。
なかなかいい工夫が思い浮かばない中、雨宿りに入った蕎麦屋に飛び込んできた浪人。その印象的な姿に釘付けになった仲蔵が浪人に話しかけて姿を確認するところ。二人の会話がもう芝居を見ているようで鳥肌がぞわぞわ。

それなのにところどころ、ふっと力が抜けるおかしさがあって、それがいかにも南なん師匠らしくて楽しい。

芝居のシーンは本当にその鮮やかな姿が目に浮かぶようで、でも想像もしていなかったような客の反応に仲蔵がどんどんがっかりしていくのが、結末を知ってるだけになんともいえない気持ちに。
がっかりして帰ってきた仲蔵に妻が「でもお前さん思う通りの芝居ができたんだろう?だったらよかったじゃないか」というのがいい。最高の女房だなぁ。

上方に旅立とうと河岸を通りかかった時に、「仲蔵の定九郎が凄かった。あれはぜったい見た方がいい!」と客が話しているのを聞いて、「ああ、一人でも俺の芸をわかってくれた人がいた」と喜ぶところで、仲蔵と南なん師匠が重なって見えて思わず涙が…。

すごく南なん師匠らしい「中村仲蔵」で胸を打つものがあった。すばらしかった。